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教育基本法第6条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文

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(学校教育)

第6条
  1. 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
  2. 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

旧教育基本法

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第6条(学校教育)
  1. 法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
  2. (略)

解説

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本条は、第1項において学校の法的性格について規定しており、第2項において学校における教育は体系的・組織的に行うこと、児童・生徒は自主的に学習に取り組むことを規定している。

第1項にいう「法律に定める学校」は、学校教育法第1条に規定する幼稚園小学校中学校義務教育学校高等学校中等教育学校特別支援学校大学高等専門学校をいう。「公の性質」とは、それらの学校が全ての国民の福利のために公開されていることを意味する。「法律に定める法人」とは学校法人のことである。

第2項は、「学校」が本法第2条にいう「教育の目標」の達成のために「体系的な教育が組織的に行われなければならない」こと、「教育を受ける者」が「学校生活を営む上で必要な規律を重ん」じ、「自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない」ことを規定している。

旧教育基本法第6条第2項の規定は、本法第9条として独立して規定している。

参照条文

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判例

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  1. 不当利得返還請求事件(最高裁判所第二小法廷判決、平成18年11月27日、平成17年(受)第1158号・平成17年(受)第1159号、最高裁判所民事判例集60巻9号3437頁)民法第3編第2章 契約,学校教育法52条学校教育法69条の2第1項,学校教育法施行規則4条1項7号,民法540条1項,憲法26条1項,学校教育法施行規則67条民法703条民法420条消費者契約法2条消費者契約法9条,民訴法第2編第4章第1節 総則,学校教育法施行規則44条/72条1項
    1. 大学と当該大学の学生との間の在学契約の性質
      大学と当該大学の学生との間で締結される在学契約は,大学が学生に対して,講義,実習及び実験等の教育活動を実施するという方法で,大学の目的にかなった教育役務を提供するとともに,これに必要な教育施設等を利用させる義務を負い,他方,学生が大学に対して,これらに対する対価を支払う義務を負うことを中核的な要素とするものであり,学生が部分社会を形成する組織体である大学の構成員としての学生の身分,地位を取得,保持し,大学の包括的な指導,規律に服するという要素も有し,教育法規や教育の理念によって規律されることが予定されている有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約である。
      • 大学を設置運営する学校法人等と当該大学の学生(以下においては,在学契約又はその予約を締結したがいまだ入学していない入学試験合格者を含めて「学生」ということがある。)との間に締結される在学契約は,大学が学生に対して,講義,実習及び実験等の教育活動を実施するという方法で,上記の目的にかなった教育役務を提供するとともに,これに必要な教育施設等を利用させる義務を負い,他方,学生が大学に対して,これらに対する対価を支払う義務を負うことを中核的な要素とするものである。また,上記の教育役務の提供等は,各大学の教育理念や教育方針の下に,その人的物的教育設備を用いて,学生との信頼関係を基礎として継続的,集団的に行なわれるものであって,在学契約は,学生が,部分社会を形成する組織体である大学の構成員としての学生の身分,地位を取得,保持し,大学の包括的な指導,規律に服するという要素も有している。このように,在学契約は,複合的な要素を有するものである上,上記大学の目的や大学の公共性(本条第1項)等から,教育法規や教育の理念によって規律されることが予定されており,取引法の原理にはなじまない側面も少なからず有している。以上の点にかんがみると,在学契約は,有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解するのが相当である。
    2. 大学の入学試験の合格者が納付する入学金の性質
      大学の入学試験の合格者が納付する入学金は,その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り,合格者が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有し,当該大学が合格者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられることが予定されているものである。
    3. 大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約等を締結して当該大学に入学金を納付した後に同契約等が解除された場合等における当該大学の入学金返還義務の有無
      大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約又はその予約を締結して当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有する入学金を納付した後に,同契約又はその予約が解除され,あるいは失効しても,当該大学は当該合格者に入学金を返還する義務を負わない。
    4. 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約の性質
      大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有する。
    5. 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に関する消費者契約法9条1号所定の平均的な損害等の主張立証責任
      大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約に納付済みの授業料等を返還しない旨の特約がある場合,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害及びこれを超える部分については,事実上の推定が働く余地があるとしても,基本的には当該特約の全部又は一部の無効を主張する当該合格者において主張立証責任を負う。
    6. 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
      大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,国立大学及び公立大学の後期日程入学試験の合格者の発表が例年3月24日ころまでに行われ,そのころまでには私立大学の正規合格者の発表もほぼ終了し,補欠合格者の発表もほとんどが3月下旬までに行われているという実情の下においては,同契約の解除の意思表示が大学の入学年度が始まる4月1日の前日である3月31日までにされた場合には,原則として,当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして,同号によりすべて無効となり,同契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,原則として,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,上記平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。
    7. 専願等を出願資格とする大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
      入学試験要項等の定めにより,その大学,学部を専願あるいは第1志望とすること,又は入学することを確約することができることが出願資格とされている大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものである場合には,同契約の解除の時期が当該大学において同解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。

脚注

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参考文献

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  • 浪本勝年・三上昭彦編著 『「改正」教育基本法を考える ――逐条解説―― [改訂版]』 北樹出版、2008年10月15日ISBN 9784779301346
  • 曽我雅比児著 『公教育と教育行政 改訂版 ――教職のための教育行政入門――』 大学教育出版、2015年4月20日ISBN 9784864293006

前条:
教育基本法第5条
(義務教育)
教育基本法
第2章 教育の実施に関する基本
次条:
教育基本法第7条
(大学)
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