日本国憲法第94条
条文[編集]
【地方公共団体の権能、条例制定権】
- 第94条
- 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
解説[編集]
参照条文[編集]
判例[編集]
- 公衆浴場法違反(最高裁判決 昭和30年1月26日)憲法第22条
- 昭和25年福岡県条例第54号第3条ないし第5条と憲法第94条
- 昭和25年福岡県条例第54号第3条ないし第5条の規定は、公衆浴場法第2条の範囲内で同法が例外的に不許可とする場合の細則を定めたもので、憲法第94条に違反しない。
- 右条例は、法律が例外として不許可とする場合の細則を具体的に定めたもので、法律が許可を原則としている建前を、不許可を原則とする建前に変更したものではなく、従つて右条例には、所論のような法律の範囲を逸脱した違法は認められない。
- 風俗営業取締法違反(最高裁判決 昭和30年12月8日)
- 長野県風俗営業取締法施行条例第18条第1号と風俗営業取締法第3条所定の制限事項の範囲
- 長野県風俗営業取締法施行条例第18条第1号において、遊技場の営乗者または従業者が賭博に類似する行為、その他著しく射倖心をそそるような行為をしまたはさせてはならない旨を定めたのは、右取締法第3条所定の範囲を逸脱したものということはできない。
- 風俗営業取締法3条は、所論のように狭義に解すべきではなく、都道府県がいわゆる風俗営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備のみならず、広くこの種営業に関し、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を、条例を以て定め得ることを規定したものと解するを相当とするから、所論長野県風俗営業取締法施行条例18条1号において、遊技場(右取締法1条3号の営業)の営業者又は従業者が賭博に類似する行為、その他著しく射倖心をそそるような行為をし又はさせてはならない旨を定めたからとて、これを目して右取締法3条所定の範囲を逸脱したものということはできない
- 大阪市条例第六八号違反(最高裁判決 昭和37年5月30日)日本国憲法第31条, 日本国憲法第73条
- 地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号第2条第1項の合憲性
- 地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」第2条第1項は、憲法第31条に違反しない。
- 条例は、法律以下の法令といつても、公選の議員をもつて組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であつて、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。
- ため池の保全に関する条例違反(奈良県ため池条例事件 最高裁大法廷判決 昭和38年6月26日)憲法29条, 憲法31条
- 奈良県ため池の保全に関する条例(昭和29年奈良県条例第38号)第4条第2号、第9条(所定のため池の堤とうに竹木若しくは農作物を植える等の行為をした者を3万円以下の罰金に処するとしたもの)の合憲性。
- 奈良県ため池の保全に関する条例(昭和29年奈良県条例第38号)第4条第2号、第9条は、憲法第29条第2項、第3項に違反しない。
- ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は、本条例1条の示す目的のため、その財産権の行使を殆んど全面的に禁止されることになるが、それは災害を未然に防止するという社会生活上の已むを得ない必要から来ることであつて、ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は何人も、公共の福祉のため、当然これを受忍しなければならない責務を負うというべきである。すなわち、ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであつて、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあるものというべく、従つて、これらの行為を条例をもつて禁止、処罰しても憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえないし、また右条項に規定するような事項を、既に規定していると認むべき法令は存在していないのであるから、これを条例で定めたからといつて、違憲または違法の点は認められない。
- 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反(徳島市公安条例事件 最高裁判決 昭和50年9月10日) 昭和27年徳島市条例3号(集団行進及び集団示威運動に関する条例 ;以下「集団行進等に関する徳島県条例」と記す)3条3号,集団行進等に関する徳島県条例5条, 道路交通法77条1項4号,道路交通法77条3項,道路交通法119条1項13号,徳島県道路交通施行細則(昭和47年徳島県公安委員会規則1号による改正前のもの)11条3号
- 構成要件としての明確性:憲法31条,罪数:刑法54条1項前段
- 集団行進等に関する徳島県条例3条3号、五条と道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号との関係(法律と条例の関係)
- 道路交通法77条1項4号は、その対象となる道路の特別使用行為等につき、各地方公共団体が、条例により地方公共の安寧と秩序の維持のための規制を施すにあたり、その一環として、これらの行為に対し、道路交通法による規制とは別個に、交通秩序維持の見地から一定の規制を施すことを排斥する趣旨を含むものではなく、集団行進等に関する徳島県条例3条3号の規制と道路交通法77条及びこれに基づく徳島県道路交通施行細則による規制とが一部重複しても、道路交通法による規制は条例の規制の及ばない範囲においてのみ適用されるものと解すべく、右条例3条3号、5条の規定が、道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号に違反するものではない。
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