民法第183条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](占有改定)
- 第183条
- 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
解説
[編集]占有代理人が自分で占有する物を以後本人のために占有するという意思表示をしたときは、本人はこれによって占有権を取得する。
本条を占有改定という。条文はわかりにくい。
「代理人(物を売った後の売主が買主のために代理占有している状態)が自己(売主)の占有物(物を売るまでは自分の物)を以後本人(買主)のために占有する(保管する)意思を表示したときは、本人(買主)はこれによって占有権を取得する。」
要するに物の売主がそれを買主に引き渡さないで買主のために保管しているような状態のことである。
占有改定は、物権の非典型担保である譲渡担保に利用されている。
参照条文
[編集]- 民法第178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
判例
[編集]- 動産引渡請求 (最高裁判決 昭和30年06月02日) 民法第178条,民法第181条
- 動産の売渡担保契約と債務者の所有権取得の対抗力の有無
- 債務者が動産を売渡担保に供し引きつづきこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもつて第三者に対抗することができるものと解すべきである
- 庭石庭樹所有権確認請求(最高裁判決 昭和32年12月27日)民法第192条
- 占有改定による占有の取得と民法第192条の不適用
- 占有改定により占有を取得したに止まるときは、民法第192条の適用はない。
- 強制執行異議 (最高裁判決 昭和34年08月28日) 民訴法566条
- 差押中の有体動産の占有改定の効力。
- 有体動産に対する占有権は、差押によつて失われるものではないからその動産の占有改定による引渡は、差押の存続する間、差押債権者に対抗できないにとどまるものと解すべきである。
- 動産所有権確認同引渡請求 (最高裁判決 昭和35年2月11日) 民法第192条
- 占有改定による占有の取得と民法第192条の適用の有無。
- 占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法第192条の適用はない。
- 第三者異議(最高裁判決 昭和62年11月10日)民法第85条、民法第178条、民法第181条、民法第333条、民法第369条
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
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