民法第3条の2

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法学民事法民法コンメンタール民法第1編 総則 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(意思能力)

第3条の2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

解説[編集]

意思能力とは、意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力(精神状態・精神能力)[1][2][3]をいう。一般的には、10歳未満の幼児や泥酔者、重い精神病や認知症にある者には、意思能力がないとされる。

日本では、判例(大判明治38年5月11日民録11輯706頁)や学説によって意思無能力者の法律行為は無効とされてきたが、民法などの実定法には具体化されていなかった[3]。2017年の改正で本条が追加された。

制限行為能力者の行為が取消しうるものであるのに対し、意思無能力者の法律行為は一層強い無効されるが、目的が意思表示者の保護にあるため、無効の主張は目的に叶う者のみに許されるとするのが、立法前からの学説上の通説である。一方、法定されている制限行為能力者の行為と異なり、法律行為時に当該行為の時点で意思無能力であったことは、実質的な観点からその有無を立証する必要がある。

脚注[編集]

  1. ^ 近江幸治『民法講義Ⅰ 民法総則 第5版』成文堂、2005年3月、37頁
  2. ^ 川井健『民法概論1 民法総則 第4版』有斐閣、2008年3月、21頁
  3. ^ 3.0 3.1 意思能力制度の明文化”. 法務省. 2019年7月8日閲覧。

前条:
民法第3条
(権利能力)
民法
第1編 総則

第2章 人

第2節 意思能力
次条:
民法第4条
(成年)
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