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民法第932条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文

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(弁済のための相続財産の換価)

第932条
前三条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

解説

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相続財産の処分にあたっては、公正を担保するため競売によることを原則とする(明治民法第1034条由来)。ただし、家屋など相続財産自体が相続人の生活に関わっている場合も少なくなく、穏当に処理を進めるため、相続人が家庭裁判所の選任した鑑定人の評価に従いその鑑定価格以上の金銭を支払い、相続財産を取得するという競売の例外を認めている(先買権)。相続人は、不動産であれば「不動産鑑定士」、非公開株式や事業であれば「公認会計士」「税理士」、動産であれば「古物商」といった職種の者を鑑定人候補者として立てて、家庭裁判所へ申立てることにより先買権を行使する。
競売は機能しているとは言い難く、買い手を探し交渉の上売却した方が有利に評価されることが多いが、限定承認の手続きにおいて任意売却は認められておらず(第921条により単純承認したものとみなされる)、競売により不利な価額で換価される可能性が高い。実務上は、これを避けるため先買権が利用されることが多い。

参照条文

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前3条

判例

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参考

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明治民法において、本条には親族会による後見人の監督についての以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止された。

後見人カ其任務ヲ曠クスルトキハ親族会ハ臨時管理人ヲ選任シ後見人ノ責任ヲ以テ被後見人ノ財産ヲ管理セシムルコトヲ得

前条:
民法第931条
(受遺者に対する弁済)
民法
第5編 相続

第4章 相続の承認及び放棄

第3節 遺言の効力
次条:
民法第933条
(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
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