コンテンツにスキップ

特許法第179条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

特許法第179条

審決等取消訴訟被告について規定する。本条は、実用新案法、意匠法において準用されている。商標法では、読み替えの上準用されている。

条文

[編集]

(被告適格)

第179条 前条第1項の訴えにおいては、特許庁長官被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第171条第1項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。

解説

[編集]

審決等取消訴訟においては、本来、国を被告とすべきである(行訴11条1項1号)。ただ、本条制定当時は原則、行政庁を被告とすることとなっていた(行政事件訴訟特例法3条[1])。

たとえば、査定系審判である拒絶査定不服審判審決審判合議体がするため、本来はかかる審決に対する審決取消訴訟では当該審判合議体を構成する各審判官を被告としなければならなかった。しかし、特許庁の内部事情から特許庁長官を被告とすることとした(本条本文)。 またたとえば、本来は当事者系審判である特許無効審判の審決に対する審決取消訴訟でも、審判官を被告としなければならないことになるが、審理の充実および当事者の納得の観点から、当事者対立構造を採用すると制度的利点が大きいと考えられるため[2]、審判の相手方を被告とすることとした(本条ただし書)。

現行法の分類では、査定系審判の審決、異議申立ての取消決定等については特許庁長官を、当事者系審判の審決等については審判の相手方を被告にすると考えて差し支えない。 これは171条1項の再審でも同様である。ただし、172条1項の再審が本条ただし書に記載されていないことから、この場合には当事者系審判の再審であっても特許庁長官を被告としなければならないものと考えられる。

改正履歴

[編集]
  • 昭和45年法律第91号 - 無効審判訂正無効審判の確定審決に対する171条1項の再審の被告を明記
  • (昭和53年法律第30号 - 新設の外国語国際出願固有の理由に基づく無効審判(およびその再審)を列挙に追加)
  • 昭和62年法律第27号 - 新設の延長登録無効審判(およびその再審)を列挙に追加
  • 平成5年法律第26号 - 廃止された訂正無効審判(およびその再審)を列挙から削除
  • (平成6年法律第116号 - 廃止された外国語国際出願固有の理由に基づく無効審判(およびその再審)を列挙から削除)
  • 平成15年法律第47号 - 審判名称付与に伴う修正

なお、商標法の審判の異動については、商63条を参照のこと。

外国語国際出願固有の理由に基づく無効審判(およびその再審)については、本条ではなく、旧184条の15第4項(実旧48条の12第3項で準用される場合を含む)で列挙されていた。

脚注

[編集]
  1. ^ 行訴法制定後平成16年改正前は行訴11条1項
  2. ^ 特許庁総務部総務課制度改正審議室編『平成15年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説』発明協会(現発明推進協会)、2003、p. 58

関連条文

[編集]
前条:
178条
特許法
第8章 訴訟
次条:
180条