民法第619条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](賃貸借の更新の推定等)
- 第619条
- 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
- 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、第622条の2第1項に規定する敷金については、この限りでない。
改正経緯
[編集]2017年改正において、同改正にて明文化された『敷金』の参照条文を追加。
解説
[編集]- 第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)によって解約の申し入れができることから、更新後の期間に関しては従前の契約がそのまま更新される訳では無い。
- 借地借家法第5条、借地借家法第26条の適用がある場合は本条の適用は排除される。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 家賃金請求 (最高裁判決 昭和44年07月17日)借家法1条1項
- 賃貸建物の所有権移転と敷金の承継
- 建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。
- 敷金返還請求(最高裁判決 昭和48年02月02日)
- 敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期
- 家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につき具体的に発生するものと解すべきである。
- 家屋の賃貸借終了後におけるその所有権の移転と敷金の承継の成否
- 家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合意のみによつては、新所有者に承継されない。
- 賃貸借終了後家屋明渡前における敷金返還請求権と転付命令
- 家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。
- 敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期
- 家屋明渡請求(最高裁判決 昭和49年09月02日)民法第533条
- 賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無
- 家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。
- 保証金返還請求事件(最高裁判決 平成23年07月12日)消費者契約法第10条
- 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例
- 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,保証金から控除されるいわゆる敷引金の額が賃料月額の3.5倍程度にとどまっており,上記敷引金の額が近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して大幅に高額であることはうかがわれないなど判示の事実関係の下では,消費者契約法10条により無効であるということはできない。
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