民法第303条
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(先取特権 から転送)
法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](先取特権の内容)
解説
[編集]特徴
[編集]先取特権は、
- 法定担保物件
- 債務者の財産
- 一般財産(総財産)
- →「一般の先取特権(一般先取特権)」
- 債務者に属する「個別」の動産又は不動産に関する先取特権
- 上記「一般の先取特権(一般先取特権)」に対して「特別の先取特権(特別先取特権)」と呼ばれ、債権者の債権の内容により優先順位が存在する(→優先順位)。
- 動産
- →動産先取特権
- 不動産
- →不動産先取特権
- 一般財産(総財産)
- 優先弁済的効力
優先順位
[編集]先取特権は、一般先取特権、特別先取特権ともに民法に認められた法定の権利であるが、さらに、その他の法律により認められる各種の先取特権との間に優先順位が存在する。
他の物権との関係
[編集]留置権・質権・抵当権などもいずれも優先権を与えるものではあるが、先取特権とは大きく異なる点がある。
- 先取特権と留置権との相違
- 留置権は、単に目的物を留置することができるにとどまるのに対し、先取特権はさらに進んで、その目的物を売却し、その代価について優先権を行使することができる。また、留置権は目的物の占有を必要とするが、先取特権は占有を必要としない場合が多い。
- 先取特権と質権との相違
- 質権は必ず目的物の占有を要するが、先取特権はこれを要しない場合が多い。なお、先取特権と質権が同一の物について同時に存在する場合、いずれを優先すべきかについては第334条で論ずることとするが、概していえば、質権は質権者による占有を伴っているため先取特権よりも強力である。ただし、不動産質はおおむね抵当権と同一の効力を有するにすぎないため、原則として先取特権には及ばない。
- 先取特権と抵当権との相違
- 抵当権は常に占有を必要としないのに対し、先取特権は場合によっては占有を必要とすることがある。さらに、抵当権は不動産についてのみ成立するのに対し、先取特権は動産についても成立する。そして、その優先順位についていえば、概して先取特権は抵当権よりも強力である。
譲渡担保との関係
[編集]- 譲渡担保と先取特権の関係は、法律上あらかじめ順位が定められているわけではなく、原則として「譲渡担保の対抗要件の具備時期」と「先取特権の成立・行使要件」によって個別に決まる。
- 前提として譲渡担保は「担保物権」ではなく所有権移転を形式にした担保であり、従って、担保権者は形式的所有者であり、設定者は使用収益者(経済的所有者)という二重構造になる。このため理屈の上では、先取特権は「債務者の財産」にしか付かないという性質から、すでに譲渡担保で所有権が移っていれば、原則として先取特権は及ばないということになるが、これでは、譲渡担保が強すぎるため、判例が調整している。最高裁は一貫して、「譲渡担保は実質的には担保権である」と捉えており、その結果、強制執行や配当の場面では抵当権類似の担保として処理される。つまり、「所有権だから全部勝つ」ではなく、担保順位の問題として処理される。
- では先取特権との優劣の判断基準はとなると、原則として、譲渡担保が第三者対抗要件を先に備えていれば、譲渡担保が優先されることとなる。例えば、動産なら引渡し(占有改定含む)、不動産なら登記が先なら、譲渡担保優先となる(民法第333条#判例参照)。ただし「物に密着する先取特権」は強力であり、「不動産保存の先取特権」「動産売買先取特権」「修繕費先取特権」などは、目的物の価値そのものを維持・形成した債権であるので、抵当権に対する場合と同様譲渡担保に優先する余地が大きいとされている。
参照条文
[編集]- 立木ノ先取特権ニ関スル法律
- 建物の区分所有等に関する法律第7条
- 借地借家法第12条
- 農業動産信用法(民法第322条参照)
- 船舶先取特権
- 商法 第3編海商 第8章船舶先取特権及び船舶抵当権
- 商法第842条(船舶先取特権)
- 商法 第3編海商 第8章船舶先取特権及び船舶抵当権
- 倒産法制
判例
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