刑法第117条の2
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条文
[編集](業務上失火等)
改正経緯
[編集]2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)禁錮
- (改正後)拘禁刑
解説
[編集]参照条文
[編集]判例
[編集]- 重過失失火(最高裁判決 昭和23年6月8日)
- 盛夏晴天の日ガソリン給油場内においてライターを使用した者の重過失による失火の責任
- 原判決が認定しているように、一方には、盛夏晴天の日、ガソリンが旺に揮發している給油場内、ガソリン罐を隔たること僅かに一尺五寸乃至二尺の箇所に於てライターに點火した事實あり、他方にはその直後その場所に於て火災を發生した事實ありとするならば、この二つの事實の間に因果關係の存在するものと認めるのが相當である。而も被告人は、かような場合に當然に爲すべきであつた火氣取扱上の注意を怠つてライターの發火を敢えてしたのであるから重過失失火の責を免れない。たとえ、論旨の云うような事情で、被告人がライターを取落した爲め火災を生じたものとしても、全部がガソリンで濡れているライターに前記のような場所で點火すること自體が既に大なる不注意である。
- 業務上失火(最高裁判決 昭和33年7月25日)
- 刑法第117条の2前段にいう「業務」の意義。
- 刑法第117条の2前段にいう「業務」は、当該火災の原因となつた火を直接取扱うことを業務の内容の全部または一部としているもののみに限らず、火災等の発見防止等の任務にあたる夜警の如きをも包含するものと解するを相当とする。
- 行政官庁の許可を受けていない夜警勤務と刑法第117条の2の「業務」としての刑事責任。
- 刑法第117条の2前段にいう「業務」の意義。
- 業務上失火(最高裁判決 昭和34年12月25日)
- 公衆浴場経営者の業務上の注意業務。
- 市内の、水羽葺住家の多い所で、二段式風呂釜を据えつけ、これに経約1尺高さ40尺余の煙突を設置し、石炭を燃やして連日開湯する公衆浴場の経営者は、煙道の適当な箇所に消防署係員の指示する金網を装置するのはもとより、しばしば煙突掃除を同う等の処置をなすべきもので、もし右のような措置をなさず、そのまま多量の燃料を燃やそうとするならば、常に風速に注意して火焚きをし、風勢の激しい日には釜焚きを全く中止する等細心の注意を払い、もつて火災の発生を未然の防止すべき業務上の注意義務がある。
- 業務上失火(最高裁決定 昭和42年10月12日)
- 高圧ガス販売業者のガス器具設置方法に過失があつた場合と業務上失火罪の成否
- 高圧ガス販売業者が顧客の店舗内にプロパンガス容器およびその付属設備を設置した場合において、その設置方法に過失があつたため火災を発生させたときは、業務上失火罪が成立する。
- 業務上失火、業務上過失致死(最高裁決定 昭和54年11月19日)
- サウナ風呂の開発・製作の担当者がその構造につき耐火性を検討・確保しなかつた場合と業務上失火罪の成否
- 木製ベンチ部分の下部に電熱炉を据えつける方式の組立式サウナ風呂を開発・製作した者が、その構造につき耐火性を検討・確保しなかつたため、右サウナ風呂を継続使用した浴場内において、右木製ベンチを長期間にわたる電熱炉の加熱により漸次炭化させて火災を発生させた場合には、業務上失火罪が成立する。
- 業務上失火、業務上過失致死(最高裁決定 昭和60年10月21日)刑法第211条
- 刑法117条の2の業務の意義
- 刑法117条の2にいう業務とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいう。
- 人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務と刑法211条の業務
- 刑法211条にいう業務には、人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる。
- 易燃物の管理責任者につき業務上失火罪及び業務上過失致死罪が成立するとされた事例
- ウレタンフオームの加工販売業を営む会社の工場部門の責任者として、易燃物であるウレタンフオームを管理するうえで当然に伴う火災防止の職務に従事していた者が、火を失し、死者を伴う火災を発生させた場合は、業務上失火罪及び業務上過失致死罪が成立する。
- 刑法117条の2の業務の意義
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