コンテンツにスキップ

刑法第180条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文[編集]

(未遂罪)

第180条
第176条第177条及び前条の罪の未遂は、罰する。

改正経緯[編集]

2023年改正[編集]

以下のものから改正。削除された第178条を除く趣旨。

第176条前条までの罪の未遂は、罰する。

2017年改正[編集]

2017年改正により、旧・第179条の趣旨を引き継いで改正。以下に定められていた、親告罪の条項は後継なく削除・廃止された。

(親告罪)

  1. 第176条から第178条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
  2. 前項の規定は、2人以上の者が現場において共同して犯した第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。
(経緯解説)
2017年改正以前は、強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪は親告罪であり、被害者(又はその法定代理人等)の告訴がなければ公訴を提起することができなかった。これらの犯罪の追及は、社会的評判の失墜などかえって被害者の不利益になることもあったため、訴追するか否かを被害者の意思によることとしたものである。なお、強姦罪は犯人と被害者の間の一定の関係は問わないため、絶対的親告罪に該当していた。
そのような状況下、親告罪であることが、かえって被害者の心理的負担となることや、被害者の選択に拠らせることにより、加害者の逆恨みからの復讐の標的となりかねないなどの問題点があるとの主張があり、立法も、性的侵害罪の親告罪の性質を緩和する傾向にあった(例.第2項の追加(昭和33年)、告訴期間制限の廃止(平成12年 刑事訴訟法第235条第1項改正))。2017年改正で、被害者のプライバシーなどの厳格な保護は、別途刑事手続き・裁判手続きにおいて対処されるものとし、これらの性犯罪に関し、非親告罪とした。

解説[編集]

  1. 第176条から第179条までの罪
    1. 刑法第176条(不同意わいせつ)
    2. 刑法第177条(不同意性交等)
    3. 刑法第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
  2. 実行の着手
    1. 不同意わいせつ及び不同意性交等
      • 16歳以上の者に対し、
        1. 第1号適用時;従来の強制わいせつ罪・強制性交等罪(強姦罪)の実行の着手時期の概念を継承(最決昭和45年7月28日など)
          わいせつな行為又は性交等を目的として、暴行又は脅迫を行った時。
        2. 第2,3,4号適用時;従来の準強制わいせつ罪・準強制性交等罪(強姦罪)の実行の着手時期の概念を継承
          わいせつ行為・性交等の目的で、従来からの概念である「心神喪失・抗拒不能」の状態を作出したか、自ら作出したものではない「心神喪失・抗拒不能」の状態に乗じてわいせつな行為ないし性交等の行為に及ぼうとした時。
          • 前者の場合、心神喪失・抗拒不能にさせようとしてこのような手段を講じたが、被害者がその状態にまでならなかった場合においても、客観的な危険が生じていれば実行の着手が認められうる。
          • 後者の場合、被害者が心神喪失・抗拒不能の状態にあることに乗じ、わいせつな行為又は性交等を目的として被害者の身体に触れるなどしてわいせつな行為又は性交等に至る具体的危険の生じた時、実行の着手としうる。
        3. 第5,6,7,8号適用時;「具体的危険」の解釈による。
      • 16歳未満の者(一方又は双方が13歳以上で性交渉が容認される場合を除く)に対しては、わいせつな行為又は性交等を目的として被害者の身体に触れるなどしてわいせつな行為又は性交等に至る具体的危険の生じた時。この場合、部位等によっては、不同意わいせつ罪が即成する場合もありうる。
    2. 監護者わいせつ及び監護者性交等
      • 16歳未満の者に対するもの同様、わいせつな行為又は性交等を目的とした具体的危険の生じた時か。
  3. 罪数等
    相手方が不同意の状況で、(1)わいせつな行為ないし性交等の行為に及ぼうとして実行が着手されたがわいせつな行為ないし性交等の行為には至らなかった場合、または、(2)わいせつな行為には及んだが性交等の行為には至らなかった場合、(1)については、不同意わいせつ罪の未遂と不同意性交等罪の未遂のいずれとするか、(2)については不同意わいせつ罪の既遂と不同意性交等罪の未遂の関係をどう評価するかが問題となるが、
    不同意の性交等を行う意思で、不同意のわいせつな行為に及んだ場合、不同意わいせつ罪の既遂・不同意性交等罪の未遂となるが、行為者の故意の如何によって判断せざるを得ない(団藤,大塚など)。

参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 強姦致傷 (最高裁決定 昭和45年7月28日)
    自動車により婦女を他所へ連行したうえ強姦した場合につき婦女を自動車内に引きずり込もうとした時点において強姦罪の実行の着手があるとされた事例
    被告人が、外一名と共謀のうえ、夜間一人で道路を通行中の婦女を強姦しようと企て、共犯者とともに、必死に抵抗する同女を被告人運転のダンプカーの運転席に引きずり込み、発進して同所から約5,800メートル離れた場所に至り、運転席内でこもごも同女を強姦した本件事実関係のもとにおいては、被告人が同女をダンプカーの運転席に引きずり込もうとした時点において強姦罪の実行の着手があつたものと解するのが相当である。
    • 被害者を拘禁した現場と姦淫した現場が乖離し、移動の間に被害者が受傷した事案について、拘禁行為に姦淫行為の実行の着手を認め、結果的加重犯である強姦致傷を認めた事例。

前条:
刑法第179条
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
刑法
第2編 罪
第22章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪
次条:
刑法第181条
(不同意わいせつ等致死傷)
このページ「刑法第180条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。