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刑法第249条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
  1. 法学刑事法刑法コンメンタール刑法
  2. 法学コンメンタールコンメンタール刑法

条文

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(恐喝)

第249条
  1. 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

改正経緯

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2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役
(改正後)拘禁刑

解説

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Wikipedia
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ウィキペディア恐喝罪の記事があります。

詐欺罪同様、以下の4段階の過程を因果関係をもって経るものとされる。

  1. 財物等を交付させる目的の暴行・脅迫
  2. 被害者の畏怖
  3. 畏怖の感情による被害者の処分行為
  4. 被害者による交付行為及び加害者による受領

参照条文

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  • 第250条(未遂罪)
    未遂は、罰する。

判例

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  1. 強盗、同未遂、恐喝(最高裁判決 昭和24年01月11日)
    恐喝罪における交付の意義
     恐喝取財罪の本質は、被恐喝者の畏怖に因る瑕疵ある同意を利用する財物の領得行爲であると解すべきであるから、その領得行爲の形式が被恐喝者において自から財物を提供した場合は勿論、被恐喝者が畏怖して默認し居るに乗じ恐喝者において財物を奪取した場合においても亦本罪の成立を妨ぐるものではないと謂わねばならぬ。それ故本罪の正條たる刑法第249條第1項の「交付せしめ」との語義は以上の各場合を包含する趣旨と解するを正當とし、亦原判決事實摘示中の「交付せしめて之を喝取し」との用辭は、右刑法正條の用語例に從いたるものと解するを相當とする。
  2. 恐喝(最高裁判決昭和24年2月8日)
    1. 警察官を装うて他人の所持する盜品を取上げる行爲と恐喝罪
      他人が窃取した綿糸を運搬して來るところを、被告人が警察官を装うて之を畏怖させその綿糸を交付させた行爲は、恐喝罪をもつて問擬すべきである。被告人の施用した手段の中に虚僞の部分即ち警察官と稱した部分があつても、その部分も相手方に畏怖の念を生ぜしめる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付するに至つた場合は詐欺罪ではなく、恐喝罪となるのである。
    2. 他人の所持する盜品に對する恐喝罪の成立
      本件において被害者Aの持つていた綿糸は盜品であるから、Aがそれについて正當な權利を有しないことは明らかである。しかし正當な権利を有しない者の所持であつても、その所持は所持として法律上の保護を受けるのであつて、例へば窃盜したものだからそれを強取しても處罰に値しないとはいえないのである。恐喝罪にしても同様であつて、賍物を所持する者に對し恐喝の手段を用いてその賍物を交付させた場合には矢張り恐喝罪となるのである。
  3. 恐喝(最高裁判決 昭和24年09月29日)
    恐喝罪における害悪告知の方法
    刑法第249條第1項恐喝の罪は害悪の及ぶべきことを通知して相手方を畏怖させることにより財物を交付させる犯罪ではあるが、その害悪の告知は必ずしも明示の言動を要するものではなく、自己の經歴性行及び職業上の不法は勢威等を利用して財物の交付を要求し、相手方をして若しその要求を容れないときは不當な不利益を釀されるの危險があるとの危惧の念を抱かしめるやうな暗默のときは恐喝取財罪を構成するものと認むべきである。
  4. 恐喝(最高裁判決 昭和25年4月11日)
    所持を禁止せられている物に對す恐喝罪の成立
    被告人がAから恐喝取得した判示の各物件が、同人所持の連合國占領軍若しくはその將兵の財産に屬するものであることは所論のとおりである。然し刑法における財物取罪の規定はたとえ法律上その所持を禁ぜられて居る場合でも、現實にこれを所持して居る事實がある以上社會の法的秩序を維持する必要からして物の所持という事實上の状体それ自体が保護せられ、みだりに不正の手段によつてこれを侵すことを許さぬものであること當裁判所の判例とする處である(昭和23年(れ)第967號同24年2月15日言渡判決)。さればAが右物件を所持することが所論政令によつて禁ぜられて居るとしても被告人等において不正の手段によつてこれが所持を奪うことの許されないこと勿論である。從つて被告人等において判示の如く、Aを恐喝して之を不法に領得した以上恐喝罪を構成すること當然で論旨は採用に値しない。
  5. 恐喝(最高裁判決 昭和26年09月28日)
    刑法第249条第2項にいう「財産上不法の利益を得」たものにあたる一事例
     他人を恐喝して金員の交付方約束せしめた場合、右は法律上正当にその履行を請求できないものであつても、刑法第249条第2項にいう「財産上不法の利益を得」たものにあたる。
  6. 恐喝(最高裁判決 昭和29年04月06日)
    1. 恐喝罪と脅迫の内容をなす害悪の性質
      恐喝罪において、脅迫の内容をなす害悪は、必ずしもそれ自体違法であることを要しない。
    2. 恐喝罪が成立する一事例
      他人の犯罪事実を知る者が、これを捜査官憲に申告すること自体はもとより違法でなくても、これをたねにして、犯罪事実を捜査官憲に申告するもののように申し向けてその他人を畏怖させ、口止料として金品を提供させれば、恐喝罪が成立する。
  7. 詐欺、恐喝、銃砲等所持禁止令違反(最高裁判決 昭和30年10月14日)刑法第35条
    権利行使と恐喝罪
    債権取立のために執つた手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず、右手段により債務者から交付を受けた金員の全額につき恐喝罪が成立する。
  8. 恐喝、暴行、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法第律違反(最高裁決定 昭和33年03月06日)
    恐喝罪における害悪通知の方法
    恐喝罪における害悪通知の方法には制限がないから、第一審判決判示の如く被告人が被害者に判示暴行を加え、さらに判示の如く申し受けて同人をして若しその要求に応じないときはさらに暴行等いかなる危害を加えるかも知れないと畏怖せしめたような場合には、暴行も恐喝罪の手段となり得る。
  9. 詐欺、恐喝(最高裁判決 昭和43年12月11日)
    刑法第249条第2項の恐喝罪における被害者の処分行為
    飲食代金の請求を受けた被告人が、その請求者らを脅迫してこれを畏怖させ、よつて請求を一時断念させた場合には、刑法第249条第2項の恐喝罪が成立する。

前条:
刑法第248条
(準詐欺)
刑法
第2編 罪
第37章 詐欺及び恐喝の罪
次条:
刑法第250条
(未遂罪)
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