刑法第36条

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条文[編集]

(正当防衛)

第36条
  1. 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
  2. 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

解説[編集]

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本条は、正当防衛(1項)についてこれを罰しないものとし、過剰防衛(2項)については情状によって刑の裁量的減免を認めた規定である。正当防衛はw:違法性阻却事由であると理解されている。

日本の通説は、ドイツ刑法第32条1項「正当防衛によって(社会倫理的に)必要とされる行為を行った者は、違法に行為したものではない。」、および、同2項「正当防衛とは、現在の違法な侵害から自己又は他の者を回避させるのに必要(=武器対等の原則)な防衛である。」のドイツにおける議論が参照される。

判例[編集]

  • 傷害(最高裁判決 昭和44年12月4日)
    「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為(=やむを得ずにした行為)」の意義
    「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」とは、反撃行為が急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を有することを意味し、右行為によつて生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であつても、正当防衛行為でなくなるものではない。
  • 殺人(最高裁判決 昭和45年11月24日)
    「急迫」の意義
    「急迫」とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫つていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。
    防衛行為と防衛の意思
    防衛行為は、防衛の意思をもつてなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激または逆上して反撃を加えたからといつて、ただちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない。
  • 兇器準備集合、暴力行為等処罰に関する法律違反(最高裁決定 昭和52年07月21日)
    侵害の急迫性
    侵害の急迫性は、当然又はほとんど確実に侵害が予期されただけで失われるものではないが、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは失われることになる。

前条:
刑法第35条
(正当行為)
刑法
第1編 総則
第7章 犯罪の不成立及び刑の減免
次条:
刑法第37条
(緊急避難)


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