刑法第62条

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条文[編集]

(ほう)助)

第62条
  1. 正犯を(ほう)助した者は、従犯とする。
  2. 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

解説[編集]

  1. 1項は、共犯のうち、幇助犯について定めた規定である。幇助とは、正犯の実行を容易にする行為のことである。
  2. 2項は従犯(幇助犯)の教唆には従犯(幇助犯)としての刑を科するものと定めいる。いわゆる間接教唆の規定である。
  3. 教唆犯を幇助する間接教唆は2項により処罰されるが、幇助犯を幇助する間接幇助については規定がなく、処罰できないため問題となる。
    判例はCの犯行を幇助したBを更にAが幇助した(A→B(幇助犯)→C(正犯))事例につき、AがBを幇助したのか、AはCを幇助したのかが争われたが、AはCを間接的に幇助したとし、1項の成立を認めた。

判例[編集]

  • 大審院第一刑事部大正6年5月25日判決
    助言を以て他人の犯罪に加工したる場合に於て該助言か他人をして犯行の故意を決定せしめたりとせは教唆犯に問擬すへく単に他人の既発の犯意を強固ならしめたるに止まるものなるときは之を従犯に問擬すへきものとす
  • 最高裁判所第一小法廷昭和44年7月17日決定
    被告人Aが、Bまたはその得意先の者において不特定の多数人に観覧せしめるであろうことを知りながら、猥せつ映画フイルムをBに貸与し、B甲からその得意先であるCに右フイルムが貸与され、Cにおいてこれを映写し十数名の者に観覧させて公然陳列するに至つた場合、被告人Aの所為については、正犯たるCの犯行を間接に幇助したものとして、従犯が成立する。
  • 覚せい剤取締法第違反、同幇助、関税法第違反、同幇助(最高裁決定 平成6年12月9日)
    正犯の実行行為が日本国内で行われた場合における日本国外で幇助行為をした者と刑法第1条第1項
    日本国外で幇助行為をした者であっても、正犯が日本国内で実行行為をした場合には、刑法第1条第1項の「日本国内ニ於テ罪ヲ犯シタル者(現行:日本国内において罪を犯した者)」に当たる。

前条:
刑法第61条
(教唆)
刑法
第1編 総則
第11章 共犯
次条:
刑法第63条
(従犯減軽)


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