刑法第19条
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条文[編集]
(没収)
- 第19条
- 次に掲げる物は、没収することができる。
- 犯罪行為を組成した物
- 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
- 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
- 前号に掲げる物の対価として得た物
- 没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
解説[編集]
付加刑であるため、刑の言い渡しは裁判所の裁量によってされる。
判例[編集]
- 窃盗教唆、賍物故買(最高裁判決 昭和23年11月18日)刑法256条,刑訴法373条,刑訴法49条1項,刑訴法373条2号
- 賍物の対価として得た物を没収するにはその対価を得た行為が犯罪を構成することを必要とするか
- 物の対価を得た行為(本件では賍物の売買行為)が犯罪を構成する場合でなければ、その対価の没収の言渡ができぬと論ずるのは全くの独断である。犯罪行為によつて得た対価を没収するのであれば同項第3号によるのであつて、第4号によるのではない。そして第4号の対価を取得する行為については、それが犯罪を構成することを要件とするものでないことは規定上も明らかである。
- -賍物の対価として得た物を没収するには、その対価を得た行為が犯罪を構成することを必要としない。
- 賍物の対価として得た金錢は没収し得るか
- 刑法第19条第1項第4号の規定は独立した没収事由として追加規定せられたものであるから、同号を適用するのに前号所定の物が同条第2項の規定により没収し得るものであることを前提とすべき理由は毫も存しない、それ故前記贓品の対価物たる押収金全額は、犯人以外の者に属せざる限り没収し得る訳である。
- -賍物の対価として得た金銭は、その賍物が犯人以外の者に属する場合においても、その金銭が犯人の所有である限り、これを没収することができる。
- 公定価格ある賍物の対価として得た金銭に対する被害者の交付請求権の範囲
- 本件では刑訴第373条第2項の規定に基き贓物の対価物につき被害者から交付の請求があつた。普通の場合であつたならば、対価物の全部を被害者に還付すべきであろうが既に贓物は処分せられた後のことであるから、被害者が犯人に対して損害賠償として交付を請求し得るのは、法令の許容する価額を標準とすべきであり、従つて本件においては「みのり」1100個、「きんし」6000本に対する処分当時の公定価額3240円に相当する押收現金の還付であると言わねばならぬ。されば、原判決がこれを被害者に還付する言渡をなし、これを差引きたる押收金の殘額25,595円を没収したのは正当である
- -公定価格ある賍物の対価として得た金銭は、処分当時の公定価格に相当する金額の範囲内において、被害者は、その交付を請求することができる。
- 賍物の対価として得た物を没収するにはその対価を得た行為が犯罪を構成することを必要とするか
- 強姦致傷、不法第監禁(最高裁判決 昭和24年07月12日)
- 没収の言渡をしながら法条を適用しない判決の違法
- 原判決は七首二振を沒収する旨言渡しながら、法律適用の部では没収に関する法条を適用していないから、理由不備の違法があり、破毀をまぬがれない。
- 加重収賄(最高裁判決 昭和29年08月20日)
- いわゆる第三者収賄罪において第三者たる法人が賄賂を収受した場合の沒収、追徴の要件
- 刑法第197条ノ2の罪において第三者たる法人の代表者が賄賂であることを知つて賄賂を法人のため受け取つたときは、その法人は同法第197条ノ4(現行:第197条の5)にいわゆる「情ヲ知リタル第三者」にあたり法人から右賄賂を沒収しまたはその価額を追徴することができる。
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