刑法第61条
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条文
[編集](教唆)
- 第61条
- 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
- 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
解説
[編集]判例
[編集]- 窃盗教唆、住居侵入教唆、強盗幇助等(最高裁判決 昭和25年07月11日 )刑法第38条2項,刑法第236条,刑法第235条
- ある住居侵入窃盜を教唆した場合において被教唆者がこれと異る他の被害者に対して住居侵入強盜をしたときの教唆者の罪責 - 『教唆の錯誤』
- 原判決によれば、被告人A(教唆者)はBに対して判示甲方に侵入して金品を盜取することを使嗾し、以て窃盜を教唆したものであつて、判示乙商会に侵入して窃盜をすることを教唆したものでないことは所論の通りであり、しかも、右Bは、C等三名と共謀して判示乙商会に侵入して強盜をしたものである。しかし、犯罪の故意ありとなすには、必ずしも犯人が認識した事実と、現に発生した事実とが、具体的に一致(符合)することを要するものではなく、右両者が犯罪の類型(定型)として規定している範囲において一致(符合)することを以て足るものと解すべきものであるから、いやしくも右Bの判示住居侵入強盜の所為が、被告人Aの教唆に基いてなされたものと認められる限り、被告人Aは住居侵入窃盜の範囲において、右Bの強盜の所為について教唆犯としての責任を負うべきは当然であつて、被告人の教唆行爲において指示した犯罪の被害者と、本犯のなした犯罪の被害者とが異る一事を以て、直ちに被告人に本犯の犯罪について何等の責任なきものと速断することを得ないものと云わなければならない。
- 偽証教唆(最高裁決定 昭和28年10月19日)刑法第169条,刑法第104条,刑訴法第311条1項,刑訴法第146条,刑訴法第154条,刑訴法第155条1項
- 被告人の黙祕権と偽証教唆罪の成否
- 被告人自体に黙祕権があるからといつて、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときは、偽証教唆罪が成立する。
- 「被告人には黙秘権が認められており自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合は理論上自己の被告事件に関する証憑湮滅行為に外ならないから刑法第104条の趣旨により偽証教唆罪に問擬すべきではない」との主張に対して。
- 詐欺、私文書偽造、同行使、横領、証憑偽造教唆(最高裁判例 昭和40年09月16日)刑法第104条
- 自己の刑事被告事件に関する証憑偽造の教唆犯の成立
- 犯人が他人を教唆して、自己の刑事被告事件に関する証憑を偽造させたときは、刑法第104条の証憑偽造罪の教唆犯が成立する。
- 法人税法違反,証拠隠滅教唆被告事件(最高裁判例 平成18年11月21日)刑法第104条
- 甲の刑事事件に関する具体的な証拠偽造を乙が考案して積極的に甲に提案していたという事情があっても甲が当該証拠偽造を乙に依頼した行為が証拠偽造教唆罪に当たるとされた事例
- 甲の刑事事件に関する具体的な証拠偽造を乙が考案して積極的に甲に提案していたという事情があっても,甲がこれを承諾して提案に係る工作の実行を依頼した行為は,これによって乙がその提案どおりに犯罪を遂行しようという意思を確定させたという判示の事実関係の下では,人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせたものとして,教唆に当たる。
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