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労働基準法第19条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

コンメンタール労働基準法

条文

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(解雇制限)

第19条  
  1. 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。
  2. 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

解説

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使用者と労働者の間は雇用契約(民法第623条)であり、その解除は、すなわち、使用者(雇用者)が行えば「解雇」であり、労働者(被雇用者)が行えば「辞職」である。民法上では、原則として対等の関係にあると解しているので、その解除は、「期間の定めのある雇用」の場合、期間徒過後相互にいつでも、ただし、一方にやむを得ない事由がある場合は直ちに、両当事者いずれからも可能であり、「期間の定めのない雇用」の場合、いつでも両当事者いずれからも「解約」を申し出ることができる。

しかしながら、雇用関係において、使用者(雇用者)と労働者(被雇用者)では、一般的に社会経済的環境が大きく異なり、「解雇」は労働者(被雇用者)の生活に非常に大きな影響を与えることを鑑み、「辞職」に比べ「解雇」は、労働法において強い制限を受けている。一般的な解雇制限については、労働契約法第16条に定められるが、本条においては、使用者に解雇が認められうる場合であっても、労働者の状況によって、解雇が制限される場合を定める。

解雇制限
  1. 業務上負傷し、又は疾病にかかり(いわゆる「業務災害」)療養のために休業する期間及びその後30日間
    療養期間+30日間
    「労働災害」の内、「通勤災害」は含まれない。
  2. 出産休暇中の女性
    解雇制限期間: 産前6週間+産後8週間+30日間
制限解除条件
  • 打切補償
    平均賃金の1200日分の給付
  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
    その事由について行政官庁の認定が必要

参照条文

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判例

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  1. 東洋特殊土木解雇予告(水戸地方裁判所龍ケ崎支部 昭和55年01月18日)
    療養期間経過後30日間のうちの予告期間中の賃金を支払うことを含んだ解雇予告(第20条)は有効である。

前条:
労働基準法第18条
(強制貯金)
労働基準法
第2章 労働契約
次条:
労働基準法第20条
(解雇の予告)
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