コンテンツにスキップ

労働安全衛生法第10条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

コンメンタール労働安全衛生法

条文

[編集]

(総括安全衛生管理者)

第10条
  1. 事業者は、政令参照条文①で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令参照条文②で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
    1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
    2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
    3. 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
    4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
    5. 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
  2. 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。
  3. 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。

解説

[編集]

労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年09月18日付け基発第602号)

  1. 第1項の「業務を統括管理する」とは、第1項各号に掲げる業務が適切かつ円滑に実施されるよう所要の措置を講じ、かつ、その実施状況を監督する等当該業務について責任をもって取りまとめることをいうこと。
  2. 第1項第3号の「その他健康の保持増進のための措置に関すること」には、健康診断の結果に基づく事後措置、作業環境の維持管理、作業の管理及び健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置が含まれること。
  3. 第2項の「事業の実施を統括管理する者」とは、工場長、作業所長等名称の如何を問わず、当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限および責任を有する者をいうものであること。
  4. 第3項の規定は、当該事業場の労働災害の発生率が他の同業種、同規模の事業場と比べて高く、それが総括安全衛生管理者の不適切な業務執行に基づくものであると考えられる場合等に、当該総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができることとしたものであること。

事業場

[編集]
「事業場」とは、財務的管理や人事的管理と異なった、事実上の労働管理の空間的単位として、本法他労働基準法などで用いられる単位である。その定義については、本法施行に合わせて発せられた、都道府県労働基準局長あての労働事務次官通達『労働安全衛生法の施行について』(昭和47年09月18日発基第91号)に以下のとおり定められている。
事業場の範囲
この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。
すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。
したがつて、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。
しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。
また、場所的に分散しているものであつても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うものとすること。

参照条文

[編集]

外部リンク

[編集]

前条:
第9条
(勧告等)
労働安全衛生法
第3章 安全衛生管理体制
次条:
第11条
(安全管理者)