コンテンツにスキップ

労働者災害補償保険法第12条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

コンメンタールコンメンタール労働労働者災害補償保険法

条文

[編集]
第12条  
  1. 年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われた場合における当該年金たる保険給付の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
  2. 同一の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による負傷又は疾病(以下この条において「同一の傷病」という。)に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く。以下この項において「乙年金」という。)を受ける権利を有する労働者が他の年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く。以下この項において「甲年金」という。)を受ける権利を有することとなり、かつ、乙年金を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として乙年金が支払われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。同一の傷病に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金を除く。)を受ける権利を有する労働者が休業補償給付、複数事業労働者休業給付若しくは休業給付又は障害補償一時金、複数事業労働者障害一時金若しくは障害一時金を受ける権利を有することとなり、かつ、当該年金たる保険給付を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付が支払われたときも、同様とする。
  3. 同一の傷病に関し、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を受けている労働者が障害補償給付若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害給付若しくは傷病年金を受ける権利を有することとなり、かつ、休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付を行わないこととなつた場合において、その後も休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付が支払われたときは、その支払われた休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付は、当該障害補償給付若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害給付若しくは傷病年金の内払とみなす。

改正経緯

[編集]
  • 2020年改正により「複数事業労働者への労災保険給付」が制度化されたため、上記下線部を挿入。

解説

[編集]

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 労働者災害補償保険金給付請求 (最高裁判決 昭和29年11月26日)
    保険給付の決定前における労働者災害補償保険法に基く保険金支払請求の許否
    労働者災害補償保険法による保険給付の受給者は、同法に基く行政機関の保険給付の決定以前に、保険金の支払を請求することはできない。
  2. 損害賠償並びに慰藉料請求(最高裁判例  昭和37年04月26日)民法第711条民法第717条労働基準法第79条労働基準法第80条労働基準法第84条2項
    1. 労働者災害補償保険法による遺族補償費として受給者の財産的損害額をこえる金額が支給された場合と受給者以外の遺族の財産的損害賠償請求権の有無
      労働者災害補償保険法に基づき妻に支給された遺族補償費の額が、妻の使用者に対して有する不法行為による財産的損害賠償請求権の額をこえる場合でも、妻以外の遺族はそのことと関係なく、使用者に対し、不法行為による財産的損害の賠償を請求することができる。
    2. 労働者災害補償保険法による遺族補償費の受給と遺族の慰藉料請求権の有無
      労働者災害補償保険法に基づき遺族補償費が支給された場合でも、遺族は別に、使用者に対し、不法行為による損害賠償としての慰藉料を請求することができる。
    3. 労働者災害補償保険法による葬祭料の受給と遺族の損害補償請求権の有無
      労働者災害補償保険法に基づき葬祭料が支給された場合でも、不法行為による遺族損害賠償請求権には消長をきたさない。

前条:
第11条
労働者災害補償保険法
第3章 保険給付
第1節 通則
次条:
第12条の2
このページ「労働者災害補償保険法第12条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。