コンテンツにスキップ

日本国憲法第93条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学憲法日本国憲法コンメンタール日本国憲法

条文

[編集]

【地方議会、長・議員の直接選挙】

第93条
  1. 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
  2. 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

解説

[編集]
Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディア日本国憲法第93条の記事があります。

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 収賄(最高裁判決昭和38年3月27日)地方自治法第281条の2第1項(改正前)
    • 1952年(昭和27年)の地方自治法改正によって特別区の独立性の制限と都への従属の強化が図られ、区長公選制が廃止、区長は区議会が都知事の同意を得て選任する区長選任制が導入されていた時期の判決(w:特別区#公選制と選任制参照)。なお、1974年(昭和49年)に地方自治法が改正され、1975年(昭和50年)の第8回統一地方選挙から区長公選制が復活。
    地方自治法第281条の2第1項と憲法第93条第2項。
    地方自治法第281条の2第1項は、憲法第93条第2項に違反しない。
    • 特別区は、昭和21年9月都制の一部改正によつてその自治権の拡充強化が図られたが、翌22年4月制定の地方自治法をはじめその他の法律によつてその自治権に重大な制約が加えられているのは、東京都の戦後における急速な経済の発展、文化の興隆と、住民の日常生活が、特別区の範囲を超えて他の地域に及ぶもの多く、都心と郊外の昼夜の人口差は次第に甚だしく、区の財源の偏在化も益々著しくなり、23区の存する地域全体にわたり統一と均衡と計画性のある大都市行政を実現せんとする要請に基づくものであつて、所詮、特別区が、東京都という市の性格をも併有した独立地方公共団体の一部を形成していることに基因するものというべきである。
    • しかして、特別区の実体が右のごときものである以上、特別区は、その長の公選制が法律によつて認められていたとはいえ、憲法制定当時においてもまた昭和27年8月地方自治法改正当時においても、憲法93条2項の地方公共団体と認めることはできない。従つて、改正地方自治法が右公選制を廃止し、これに代えて、区長は特別区の議会の議員の選挙権を有する者で年齢25年以上のものの中から特別区の議会が都知事の同意を得て選任するという方法を採用したからといつて、それは立法政策の問題にほかならず、憲法93条2項に違反するものということはできない。
      垂水克己裁判官の補足意見)
      私は、次の説を大いに傾聴に値するものと考える。
      東京都の特別区は自己の議会を有し(この点大阪市の区と異る)、自治立法権(条例制定権)、自治財政権(課税権)及び自治行政権を有しているのであるから、その権限は制限されているとはいえ、なおこれを地方公共団体というべきである。
      1. 条例制定権
        昭和21年9月東京都制の一部改正法律により、区は、条例、区規則の制定権を認められた(同法143条)。昭和23年1月地方自治法の施行により、都の区は、特別区という法人格を有する地方公共団体となり、原則として市と同様に取扱われることとなつた(同法281条1項、1条3項、2条、283条、14条、15条)。
      2. 自治行政権
        昭和21年9月改正の東京都制によつて、区は、従前の事務のほか法令の定めるところにより区に属する事務を処理することとなつた(同法140条)。昭和23年1月施行の地方自治法281条は、「特別区は、その公共事務及び法律若しくは政令又は都の条例により特別区に属するもの並びに従来法令又は都の条例により都の区に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」(2項)、「第2条第3項及び第4項の規定は、前項の事務にこれを準用する。」(3項)と規定し、さらに、同法附則17条は、「他の法律中市に関する規定は、政令で特別の規定を設ける場合を除くの外、特別区にも、また、これを適用する。」と定め、特別区に普通地方公共団体と同様の自治行政権を与えた。
      3. 財政権
        前記改正東京都制の下では、区は、独立して、課税権および起債権を認められていた(前同法157条ノ3ないし157条ノ5)。もつとも、昭和21年9月法律16号地方税法および昭和25年法律226号地方税法は、区を独立の課税権を有する地方公共団体として取り扱わず、ただ都の条例の定めるところにより都の課することのできる税の全部または一部を区税として課することを認めているに過ぎず、さらに税目を起して独立税を課する場合においても、都の同意を必要とするという制限が課せられていた(16号85条ノ11、同条ノ12、226号1条、734条ないし736条)。
      今、東京都の特別区の実体をみても、各区は人口12万余から52万余に及び、町田市、府中市の約6万、伊豆大島、八丈島の各1万3千をはるかに凌駕しており、その政治的、経済的、文化的活動も活溌であり、区民の民主化も生活も大いに発達している。この特別区が、制約を受けながらも、右の如き自治権を法律によつて与えられている以上、これを憲法93条2項にいう地方公共団体でないとはいえない。とすれば、特別区の長はその住民の直接選挙によるべきである。
  2. 懲罰決議等取消請求(最高裁判決 昭和35年10月19日)裁判所法第3条,地方公務員法第134条,地方自治法第135条
    地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決と裁判権。
    地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決の適否は裁判権の外にある。(旧判例:変更判例
  3. 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消(最高裁判決平成7年02月28日)日本国憲法第15条1項,地方自治法第11条,地方自治法第18条,公職選挙法第9条2項
    日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項と憲法15条1項、93条2項
    日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項は、憲法15条1項、93条2項に違反しない。
    • 地方自治について定める憲法第8章は、93条2項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法15条1項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有す日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
    • 憲法93条2項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない。
  4. 出席停止処分取消等請求事件(最高裁判決 令和2年11月25日)裁判所法第3条第1項,地方公務員法第134条第1項,地方自治法第135条第1項第3号,憲法92条
    普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査
    普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。
    • 憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科されるものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。
    • 他方、議員は,憲法上の住民自治の原則を具現化するため,議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負う。
    • 出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。そうすると,出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。
    • したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。これと異なる趣旨をいう所論引用の当裁判所大法廷昭和35年10月19日判決その他の当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。

前条:
日本国憲法第92条
【地方自治の基本原則】
日本国憲法
第8章 地方自治
次条:
日本国憲法第94条
【地方公共団体の権能、条例制定権】
このページ「日本国憲法第93条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。