刑法第54条
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条文[編集]
(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
- 第54条
- 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
- 第49条第2項の規定は、前項の場合にも、適用する。
解説[編集]
本条は、観念的競合や牽連犯の場合について、49条2項による没収の併科を除き、その最も重い刑のみによる処断を定めたものである。
判例[編集]
- 強姦致傷、不法第監禁(最高裁判決 昭和24年07月12日)
- 不法監禁罪と強姦致傷罪とを併合罪として処罰した判決と牽連犯の成否
- 不法監禁罪と強姦致傷罪とは、たまたま手段結果の関係にあるが、通常の場合においては、不法監禁罪は通常強姦罪の手段であるとはいえないから、被告人等の犯した不法監禁罪と強姦致傷罪は、牽連犯ではない。從つて右二罪を併合罪として処断した原判決は、法令の適用を誤つたものではない。
- 監禁(最高裁判決 昭和28年06月17日)
- 同時に同一場所に数人を監禁した行為と罪数
- 同時に同一場所において別個の人を監禁したときは、一個の行為で被害者の数に応じた数個の監禁の罪名に触れる。(観念的競合)
- 最高裁判所第二小法廷昭和42年8月28日決定
- 甲から金員を騙取するため、乙名義の偽造の委任状等を登記官吏に提出し、乙の不動産の登記簿の原本に抵当権が設定された旨の不実の記載をさせて、これを行使するとともに、甲にその登記済権利証を示して、抵当権設定登記を経由した旨誤信させ、同人から借用金名下に金員を騙取したときは、公正証書原本不実記載罪とその行使罪と詐欺罪との牽連犯となる。
- 常習累犯窃盗(最高裁判決 昭和55年12月23日)
- 常習累犯窃盗の罪と窃盗の着手に至らない窃盗目的の住居侵入の罪との罪数関係
- 窃盗を目的とする住居侵入の罪は、窃盗の着手にまで至らなかつた場合にも、盗犯等の防止及び処分に関する法第律第3条の常習累犯窃盗の罪と一罪の関係にある。
- みのしろ金目的拐取、拐取者みのしろ金取得等、監禁(最高裁決定 昭和58年09月27日)
- みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が被拐取者を監禁しみのしろ金を要求した場合の罪数関係
- みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、更に被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合には、みのしろ金目的拐取罪とみのしろ金要求罪とは牽連犯の関係に、以上の各罪と監禁罪とは併合罪の関係にある。
- 業務上過失致死、同傷害(最高裁決定 昭和63年02月29日)
- 結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合の公訴時効
- 結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合につき公訴時効完成の有無を判定するに当たつては、その全部を一体として観察すべきであり、最終の結果が生じたときから起算して同罪の公訴時効期間が経過していない以上、その全体について公訴時効は未完成である。
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