民事訴訟法第259条
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条文
[編集](仮執行の宣言)
- 第259条
- 財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。
- 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求に関する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。ただし、裁判所が相当と認めるときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。
- 裁判所は、申立てにより又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
- 仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない。前項の規定による宣言についても、同様とする。
- 仮執行の宣言の申立てについて裁判をしなかったとき、又は職権で仮執行の宣言をすべき場合においてこれをしなかったときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、補充の決定をする。第3項の申立てについて裁判をしなかったときも、同様とする。
- 第76条、第77条、第79条及び第80条の規定は、第1項から第3項までの担保について準用する。
解説
[編集]判決は、確定した後に執行力が発生するのが本来であり、勝訴判決を得、任意の履行がないならば、民事執行法に基づいて強制執行をかけ解決することが想定されている。しかし、民事訴訟制度においては、上訴があって、判決確定までに一定の時間がかかるので、確定までの間、第一審判決の勝訴者の権利は不安定であり、そのことにより第一審裁判の価値も毀損されかねない。そこで、財産権上の請求権に関する判決について、仮執行宣言を付すことができることにして、上記弊害を除去し、権利者の保護を図るものである。
民事保全法による仮差押えや仮処分は、確定判決に限らず訴訟が確定するまでの間に、権利の実現が脅かされることを防ぐため、財産や状態を仮に保全することを目的とする。つまり、民事訴訟法が判決後の仮執行を規定するのに対し、民事保全法は判決前に権利や財産の保全を図る制度である。
参照条文
[編集]- 第77条(担保物に対する被告の権利)
- 会社法第858条(役員等責任査定決定に対する異議の訴え)
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