民法第144条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
条文[編集]
(時効の効力)
- 第144条
- 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
解説[編集]
時効が成立したときの効力について規定している。 趣旨は、時効の利益を主張した者に不当利得の返還義務が発生するのを防ぐためである。
例えば、金銭債権の消滅時効においては、時効成立を別論として、当該金銭債権について法定果実としての利子(契約等があれば約定利息による、無ければ法定利息)が発生しており、これは、時効の起算点より後に発生しているため、独立した債権と認めると、元本について消滅時効が成立しても、利子部分については不当利得として返還義務が争われる可能性がある。これは、時効制度を適用した本体である係争物について争うことに他ならず、時効制度の意義を損ねる結果ともなりかねない。これを回避するために、起算日時点より法律事実そのものが存在していなかったとする趣旨である。
参照条文[編集]
判例[編集]
- 土地所有権確認等請求(最高裁判例 昭和35年07月27日)民法第162条
- 時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
- 抵当権設定登記抹消登記手続請求事件(最高裁判例 平成15年10月31日)民法第145条,民法第162条,民法第177条,民法第397条
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