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民法第417条の2

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文

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中間利息の控除

第417条の2
  1. 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
  2. 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。

解説

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2017年改正により新設。

将来の債権債務について、現時点で損害賠償を決める場合には、法定利率により割り引いた額とする旨を規定する。

割引方法には、単利式を前提とするホフマン法ライプニッツ法があり、さらに、債権債務が単独で発生する場合と複数時点で発生する場合に単式/複式の計算法を用いる。損害賠償実務においては、複利計算(ライプニッツ法)の例が有力であるが(判例1, 平成11年11月16日東京・大阪・名古屋3地裁民事交通事故専門部「共同提言」)、付利の原則は単利式であるので(民法第405条)、反対の意を示す有力説や判決(福岡高裁判決平成17年8月9日交通民集38-4-899)がある[1]

単式ホフマン式計算法(損害賠償額X、期間n年間、債権債務額A、利率r)

複式ホフマン式計算法(損害賠償額X、期間n年間、各年の債権債務額a、利率r)(判例)

単式ライプニッツ式計算法(複利)(損害賠償額X、期間n年間、債権債務額A、利率r)

複式ライプニッツ式計算法(複利、債権債務額不変)(損害賠償額X、期間n年間、各年の収入額a、利率r)

複式ライプニッツ式計算法(複利、債権債務額変動)(損害賠償額X、期間n年間、各年の債権債務額a…z、利率r)

参照条文

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判例

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  1. 損害賠償請求(最高裁判決 昭和36年1月24日)
    将来において得べき全利得を損害賠償として一時に支払を受ける場合とホフマン式計算法
    将来数年間に得べき全利得を損害賠償として一時に支払を受けるため、中間利息の控除にホフマン式計算法を用いる場合には、一年ごとに得べき利得が確定されているかぎり、一年ごとに右計算法を適用して算出した金額を合算する方法によるのが相当である。
  2. 損害賠償(最高裁判決 昭和53年10月20日)自動車損害賠償保障法第3条
    将来得べかりし利益を事故当時の現在価額に換算するための中間利息控除の方法とライプニツツ式計算法
    ライプニツツ式計算法は、交通事故の被害者の将来得べかりし利益を事故当時の現在価額に換算するための中間利息控除の方法として不合理なものとはいえない。
  3. 損害賠償請求事件(最高裁判決 平成17年06月14日)民法第709条
    損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合
    損害賠償額の算定に当たり,被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は,民事法定利率によらなければならない。
    • 本判例の趣旨は、法改正により本条項に包含された。

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  1. ^ このような主張の背景には、法定利息が法改正前5%、法改正後も3%(2023年3月現在)と実勢の利息より、かなり大きく、複利式で割り引くことにより一時金が相当に減額されるという事情もある。

前条:
民法第417条
(損害賠償の方法)
民法
第3編 債権

第1章 総則
第2節 債権の効力

第1款 債務不履行の責任等
次条:
民法第418条
(過失相殺)


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