コンテンツにスキップ

民法第544条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

[編集]

解除権の不可分性)

第544条
  1. 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
  2. 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。

解説

[編集]
契約の一方当事者が数人ある場合に、法律関係が複雑になるのを防ぐために、解除権の不可分性について定めた規定である。
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる事になる。
但し、共有物の賃貸契約において共有者に解除権が発生する場合において、544条の解除権不可分の原則は適用されず、共有者全員の一致で行なう必要はない。共有者の共有持分の過半数で解除権の行使を決する事が出来る(民法第252条 最判昭和39年2月25日)。

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 家屋明渡等請求(最高裁判決 昭和36年12月22日)
    賃借人の相続人が数名ある場合と解除の意思表示。
    賃借人が死亡し、相続人として妻および子がある場合は、特段の事情の認められないかぎり、子のみに対する賃貸借解除の意思表示を有効ということはできない。
  2. 建物収去土地明渡並びに参加訴訟(最高裁判決 昭和37年4月19日)
    共同相続人の一人に対する賃借解約の効力
    土地賃借権が共同相続された場合、その共同相続人の一人に対してなされた賃貸借解約の意思表示は、その効力がない。
  3. 建物収去、土地明渡請求(最高裁判決 昭和39年2月25日)民法第252条
    共有物を目的とする貸借契約の解除と民法第544第1項の適用の有無。
    共有物を目的とする貸借契約の解除は、共有者によつてされる場合は、民法第252条本文にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」に該当すると解すべきであり、右解除については、民法第544条第1項の規定は適用されない。
  4. 建物収去土地明渡等請求、建物収去土地明渡請求附帯控訴(最高裁判決 昭和43年4月12日)民法第612条
    相続による土地の共同賃借人のうちの一人がした賃借権の無断譲渡を理由に他の賃借人に対しても、賃貸借の解除ができるか
    賃貸人が、相続により土地の共同賃借人となつた甲乙に対し、甲のした賃借権の無断譲渡を理由として賃貸借解除の意思表示をした場合、乙は右無断譲渡行為を知らず何らこれに関与していなかつたとしても、解除権不可分の原則が働くのであるから、右解除の効果は乙についても生ずるものといわなければならない。

前条:
民法第543条
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
民法
第3編 債権

第2章 契約
第1節 総則

第4款 契約の解除
次条:
民法第545条
(解除の効果)
このページ「民法第544条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。