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民法第799条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

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(婚姻の規定の準用)

第799条
第738条及び第739条の規定は、縁組について準用する。

解説

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婚姻に関する以下の事項について準用する。明治民法第847条を継承。

  1. 成年被後見人(旧制・禁治産者)の養子縁組(養親・養子とも)においては、後見人同意を必要としない(民法第738条準用)。婚姻同様、身分に関する法律行為であり、なによりも本人の意思を尊重すべきであることを理由とする。養子縁組の意思が成年被後見人の真意によるものではないと判断される場合、縁組の無効(民法第802条)を適用しうる。
  2. 養子縁組は縁組の届出を成立要件とする(民法第739条準用)。

参照条文

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判例

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  • 身分関係不存在確認請求 (最高裁判決 昭和25年12月28日)
    【事件の概要】
    甲は配偶者A(訴訟時故人)と図り、他人であるBCの子である乙を甲とAの間の嫡出子として出生届をなしたが、A死亡後、甲は乙との間の親子関係不存在訴訟を提起。下級審にて甲の請求が判決で認められたのに対して、乙が上告した案件。
    虚偽の嫡出子出生届をした者の嫡出親子関係不存在の主張の適否
    子でない者が戸籍上嫡出子として記載されている場合に、その記載が親の虚偽の嫡出子出生届に基くものであるからといつて、その親の親子関係不存在の主張が禁止されることはない。
    • 身分関係は、実体的真実を基礎とすべきであるので、信義誠実則の一つである「禁反言則」の適用はない。
    虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
    養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによつて養子縁組が成立することはない。
    父母一方の死亡と嫡出親子関係不存在確認訴訟の適否
    父母一方の死亡後は、生存者単独で嫡出親子関係不存在確認の訴訟を提起することができる。
    嫡出親子関係不存在確認の請求と子の承諾の要否
    嫡出親子関係不存在確認の請求には、子の承諾(又は同意)を要しない。
  • 相続回復、所有権更正登記手続請求 (最高裁判例 昭和50年04月08日)民法第739条民法第802条
    虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
    養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、右出生届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。

参考

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明治民法において、本条には、夫又は女戸主は、配偶者の固有財産に関して収益のために利用できる旨(使用貸借の規定が準用される)の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく削除された。

  1. 夫又ハ女戸主ハ用方ニ従ヒ其配偶者ノ財産ノ使用及ヒ収益ヲ為ス権利ヲ有ス
  2. 夫又ハ女戸主ハ其配偶者ノ財産ノ果実中ヨリ其債務ノ利息ヲ払フコトヲ要ス

前条:
民法第798条
(未成年者を養子とする縁組)
民法
第4編 親族

第3章 親子

第2節 養子
次条:
民法第800条
(縁組の届出の受理)


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