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　そこで高瀬舟の護送は、町奉行所の同心仲間で、不快な職務として嫌はれてゐた。 　　　　　―――――――――――――――― 　いつの頃であつたか。多分江戸で白河樂翁侯が政柄（せいへい）を執つてゐた寛政の頃ででもあつただらう。智恩院（ちおんゐん）の櫻が入相の鐘に散る春の夕に、これまで類のない、珍らしい罪人が高瀬舟に載せられた。…

「わ・ゐ・う・ゑ・を」 ゐたり　→　「いたり」 のように 枕草子の「をかし」　→　読み：「おかし」の例のように、古文の「わ・ゐ・う・ゑ・を」は、読みが、「わ」→「わ」（そのまま）、「ゐ」→「い」、「う」→「う」（そんまま）、「ゑ」→「え」、「を」→「お」、というふうになる。…

いろはにほへと　ちりぬるを　　　色(いろ)はにおへ(え)ど　散(ち)りぬるを わかよたれそ　つねならむ　　　　我(わ)が世(よ)だれぞ　常(つね)ならん うゐのおくやま　けふこえて　　　有為(うい)の奥山(おくやま)　今日(きょう)越(こ)えて あさきゆめみし　ゑひもせす　　　浅(あさ)き夢見(ゆめみ)じ　酔ひ(よい)もせず…

ころみる、回（み）る、射（い）る、鋳（い）る、癒（い）る、沃（い）る、居（ゐ）る、率（ゐ）る、率（ひき）ゐる、用（もち）ゐる。 活用語尾がすべてエ段で活用する活用の仕方。文語では 蹴（け）る の1語のみであった（←蹴（く）ゑる）。 例 こける 斜体は語幹 口語では為（す）る、文語では為（す）、おはす…

ゐたと云ふ事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てゝ顧(かえりみ)る者がなかつた。するとその荒󠄁(あ)󠄁れ果てたのをよい事にして、狐狸(こり)が棲(す)む。盜人(ぬすびと)が棲む。とうとうしまひには、引取手のない屍人(しにん)を、この門へ持つて來(き…

「わ・ゐ・う・ゑ・を」 ゐたり　→　「いたり」 のように 枕草子の「をかし」　→　読み：「おかし」の例のように、 古文の「わ・ゐ・う・ゑ・を」は、読みが、「わ」→「わ」（そのまま）、「ゐ」→「い」、「う」→「う」（そんまま）、「ゑ」→「え」、「を」→「お」、 というふうになる。…

字、ひらがなは漢字をくずした文字、カタカナは漢字の一部を取り出した文字です。ひらがなは平安時代に作られ、当時は女性が使う文字とされていました。 ゐ/ヰ、ゑ/ヱに関する注意 現代語では原則として使用せず、発音・文字共にい/イ、え/エで代用されます ただし、人名など固有名詞には残っています…

「必ず（かならず）吾が（わが）墓（はか）に檟（か）を樹ゑよ（うえよ）。檟（か）は材（ざい）とすべきなり。 吾が（わが）目（め）を抉りて（ゑぐりて）、東門（とうもん）に懸けよ（かけよ）。 以て（もつて）越兵（ゑつへい）の呉（ご）を滅ぼす（ほろぼす）を観ん（みん）。」と。乃ち（すなはち）自剄（じけい）す。…

　元文（げんぶん）三年十一月二十三日の事である。大阪で、船乘業（ふなのりげふ）桂屋太郎兵衞（かつらやたろべゑ）と云ふものを、木津川口（きづがはぐち）で三日間曝（さら）した上、斬罪に處すると、高札（かうさつ）に書いて立てられた。市中到る處太郎兵衞の噂ばかりしてゐる中に、それを最も痛切に感ぜなくてはな…

テンプレート:Japanese kana navigation 下表のリンクから、ひらがなとカタカナの筆順が確かめられます。濁音や半濁音も同じページにあります。 ゐゑ（いまは使わない） ヰヱ（いまは使わない） 長音は、母音に応じて「あ」「い」「う」「え」「お」を添えます。ほとんどの場合、ア段の場合は「あ」、イ段の…

ち身を飜(ひるがえ)して、元の叢に隱れた。叢の中から人間の聲(こゑ)で「あぶない所だつた」と繰返󠄁(くりかえ)し呟(つぶや)くのが聞えた。其の聲に袁傪は聞き憶えがあつた。驚懼(きやうく)の中にも、彼は咄嗟(とつさ)に思ひあたつて、叫んだ。「其の聲は、我が友、李徵子ではないか？」袁傪は李徵と同年に進…

たとえば「あ・わ・せ・た・き・も・の・す・こ・し」（合わせ薫き物少し）という題に対して、 あふさかも　はてはいききの　せきもゐず　たずねてこばこ　きなばかえさじ （逢坂（あふさか）も　果ては行き来の　関もゐず　尋ねて来（こ）ば来　来なば帰さじ） と答える。 それぞれの句の頭文字を、一文字ずつ、つなげると、「あはせたき」になる。…

高等学校文学国語/ラムネ氏のこと 上 小林秀雄(こばやしひでお)と島木健作(しまきけんさく)が小田原へ鮎(あゆ)釣りに來(き)て、三好達󠄁治(みよしたつじ)の家で鮎を肴(さかな)に食事のうち、談たまたまラムネに及んで、ラムネの玉がチョロチョロと吹きあげられて蓋(ふた)になるのを發明(はつめい)した奴が、あれ一つ…

けばよい。特に以下の点には気をつけよう。 かなづかい 単語のはじめ以外の「はひふへほ」は「わいうえお」と読む。「む」は「ん」と読むものがある。現在使われていない「ゐ」は「い」、「ゑ」は「え」と読む。「くわ」「ぐわ」は「か」「が」と読む。もっとも気をつけなければならないのはローマ字のつづりが「au」の…

ゐて、每晚晚酌の肴(さかな)に近所の子供らを膳(ぜん)の向ひにすわらせて、生の大蒜(にんにく)をぼりぼりかじりながらうまさうに熱い杯(さかづき)を嘗(な)めては數限りもない化物の話をして聞かせた。 思ふにこの老人は一千一夜物語の著者のごとき創作的天才であつたらしい。 さうして傳說(でん…

を(格助)　句　の(格助)　上　に(格助)　据ゑ(下二段・連用)　て(接助)　旅　の(格助)　心　を(格助)　よめ(四段・命令)。」 と(格助)　言ひ(四・用)　けれ(助動・過去・已然)　ば(接助)、よめ(四・已然)　る(助動・完了・連体)。 唐衣　き(上一段・連用)　つつ(接助)　なれ(下二・連…

き。化熊川より出でて、天の劒を高倉に獲、生尾徑(こみち)を遮(さへ)きりて、大き烏吉野に導きき。を列ねて賊(あた)を攘(はら)ひ、歌を聞きて仇を伏しき。すなはち夢に覺(さと)りて神祇を敬(ゐやま)ひたまひき、所以(このゆゑ)に賢后と稱(まを)す[一〇]。烟を望みて黎元を撫でたまひき、今に聖帝と傳ふ[…

き)くに非(あら)ざるを以て、公務(まつりごと)を防(さまた)ぐること勿れ。」と。 十四に曰はく、「群卿百寮、嫉(そね)み妬(ねた)むこと有る無(なか)れ。我既に人を嫉めば、人亦我を嫉む。嫉妬(しつと)の患、其の極(きま)りを知らず。所以(ゆゑ…

に向けて安全をいのる儀式が、語の元になっている。 船旅なので馬には乗らないが、送別の宴をしてもらったので、「馬のはなむけ」だという言葉遊び。 ・酔（ゑ）ひ飽きて - 意味は「すっかり酔っ払って」。 ・あやしく - 不思議なことに。この文では、次の文節の「あざれ」の言葉遊びに掛かっているので、作者が「不思議だ」と冗談を言っている。…

「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語。 ・御身 - お体。 ・聞こえ - 有名な。 ・いふかひなき - 大したことのない。 ・口惜しう - 残念。 ・さらば - 「さあらば」の略。そうであるならば。「さようなら」ではない。 ・ - 語注 ・今井四郎（いまゐのしろう） - 今井四郎兼平（いまいのしろうかねひら）。義仲の家来。義…