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民法第670条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

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(業務の決定及び執行の方法)

第670条
  1. 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
  2. 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
  3. 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
  4. 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。
  5. 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

改正経緯

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2017年改正にて、以下の条項から改正。

(業務の執行の方法)

  1. 組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。
    • 組合員間内部に関して、過半数にて意思を「決定」する旨は定められていたが、組合員外に対しての「執行」の権限について明示した(改正第1項)。
  2. 前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半数で決する。
    • 改正により「執行」のみならず「決定」も委任できることを明示し(改正第2項)、委任業務について業務執行者が複数ある場合は、過半数でこれを決定し、執行は各業務執行者が各自で行う旨定めた(改正第3項)。
    • ただし、この委任に関わらず(すなわち、業務執行者の決定及び執行に優先して)、総組合員の同意により決定及び執行が可能である(改正第4項)。
  3. 組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。
    • 改正第5項に継承。

解説

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組合自体は仮想的な存在であるので、業務について決定(何をするか決めること)も執行(組合外に対して意思を表示すること)もできない。そのため、組合の業務は、組合員の総意(多数決、組合契約で方式を決めても良い)によってなされるが、常に、組合員が参集しているわけではないので、業務の決定及び執行については、組合員から選定または第三者に委任するのが一般的であり、この受任者を「業務執行者」という。

業務執行者が複数ある場合、業務の決定は業務執行者の総意で行い、その執行は各業務執行者が行う。ただし、総組合員の同意による決定及び総組合員による執行は、これらに優先する。これら意思決定及び意思表示(執行)に齟齬が見られる場合、心裡留保虚偽表示代理理論等により解決される。

「常務」とは、組合事業を行うのに必要な日常の些事を言い、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができるが、その完了前に他の組合員又は業務執行者は意義を述べ、執行を停止することができる。

参照条文

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判例

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  1. 売掛代金請求(最高裁判決 昭和35年12月09日)民法第667条
    民法上の組合における多数代理の許否。
    民法上の組合において組合契約その他により業務執行組合員が定められていない場合、組合員の過半数のものは、共同して右組合を代理する権限を有するものと解すべきである。
  2. 資材代金等請求(最高裁判決 昭和38年05月31日)
    民法上の組合の業務執行者の代理権限の制度と第三者に対する対抗力。
    民法上の組合において組合規約等で業務執行者の代理権限を制限しても、その制限は善意無過失の第三者に対抗できないものと解するのが相当である。
  3. 立替金請求(最高裁判決  昭和45年11月11日) 民事訴訟法第45条
    民法上の組合の業務執行組合員に対する組合員の任意的訴訟信託の許否
    民法上の組合において、組合規約に基づき、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行し、訴訟を追行する権限を与えられた業務執行組合員は、組合財産に関する訴訟につき、組合員から任意的訴訟信託を受けたものであり、自己の名で訴訟を追行することが許される。

前条:
民法第669条
(金銭出資の不履行の責任)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第12節 組合
次条:
民法第670条の2
(組合の代理)
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