古典ラテン語/副詞

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古典ラテン語の 副詞Adverbium) は多様で、比較級・最上級などに形が変化するものと、変化しないものがある。

変化しない副詞[編集]

変化しない副詞(indeclinable adverbs, uncomparable adverbs)は、比較級や最上級を持たない副詞のことで、数副詞前置詞としても用いられるものがある。

関連:wikt:en:Category:Latin uncomparable adverbs

一覧表[編集]

副 詞 意 味 備 考
adeō (場所)そこまで、(時間)その時点まで。
それほど、etc.
[語源] 前置詞ad+場所の副詞
adhūc (場所)ここまで、(時間)今まで、etc. [語源] 前置詞ad+場所の副詞hūc
adversus,
adversum
向かって、面して、反対して
[類義語] contrā
#前置詞としても用いる副詞 を見よ
aliquam 大いに ※「#副詞的対格/代名副詞」を見よ
aliquamdiū (時間)いくらかの間 [語源] 副詞aliquamdiū
[別形] aliquandiū
aliquandō (時間)ときどき、
あるとき、かつて、いつか、ついに
[語源] 代名詞的形容詞alius+副詞quandō
[類義表現] aliquō tempore, nōnnumquam
※「/代名副詞相関詞」を見よ
aliquō (場所)どこかへ ※「/代名副詞相関詞」を見よ
aliter 別の方法で、違う風に [類義表現] aliō modō
※「/代名副詞相関詞」を見よ
ante 前に、前方に、以前に #前置詞としても用いる副詞 を見よ
[1] anteā (時間)前に、以前に、かつて
(場所)前方に
[語源] ante+代名詞の奪格
[対義語] posteā (後で)
bis 二度、再び;二倍 ※「#数副詞
cētera その他については [語源] 形容詞 cēterusの中性・複数・対格
[2] cēterum その他については、
そのうえ、さらに
※「#副詞的対格
circā まわりに、近くに #前置詞としても用いる副詞
circiter まわりに、およそ #前置詞としても用いる副詞
circum まわりに #前置詞としても用いる副詞
#副詞的対格
citrā こちら側に  [対義語] ultrā #前置詞としても用いる副詞
[3] clam 隠れて、こっそり
 [対義語] cōram
#前置詞としても用いる副詞
#副詞的対格
contrā 逆らって、敵対して、
相対して、対して
#前置詞としても用いる副詞
[類義語] adversus, adversum
cōram 面と向かって、
公然と [対義語] clam
#前置詞としても用いる副詞
[4] cotīdiē 毎日、日々 ※「#副詞的奪格
[語源] quotdiēs
[別形] cottīdiē, quotīdiē
crās 明日 [関連語] crāstinus, -a, -um (昨日の)
[類義表現] posterō diē (翌日に),
diē post hodiernum diem(今日の次の日)
[対義語] herī (昨日)
cūr なぜ、どうして ※疑問副詞
[古形] quōr, quūr  [別形] cor (まれ)
[類義語] quārē (quā rē)
deinceps 続いて ※「#副詞的対格
deinde 次に、それから、その後 [語源] 前置詞 +副詞 inde
[短縮形] dein
[類義語] tum
[2] dēmum ついに、最後に ※「#副詞的対格
[類義語] dēnique
dēnique ついに、最後に [語源] 前置詞 +接尾辞 -que
[類義語] dēmum
enim 確かに、もちろん、
実際
#接続詞としても用いる副詞
(場所) そこに、その場所へ
(時間) その時まで、
(理由) それゆえに、
(程度) その程度
※「/代名副詞相関詞」を見よ
[類義表現] in eō locō, in eum locum,
eō tempore, eā rē
[派生語] adeō, ideō
et ~もまた、同様に #接続詞としても用いる副詞
etiam ~もまた、
~でさえ、~ですら
#接続詞としても用いる副詞
extrā 外側に #前置詞としても用いる副詞
ferē ほとんど、ほぼ、
全く、完全に、
一般に、普通は
[類義語]
 (ほとんど、ほぼ) fermē, paene, prope,
 (全く、完全に) omnīnō
[4] forte 偶然に、たまたま、
おそらく
※「#副詞的奪格
[4] frūstrā むなしく、無駄に ※「#副詞的奪格
haud ~ない [別形] haut, hau
[類義語] nōn, minimē
herī 昨日 [派生語] hesternus, -a, -um (昨日の)
[類義語] prīdiē (前日に)
[対義語] crās (明日)
hīc ここに ※「/代名副詞
[類義表現] in hōc locō
hinc ここから ※「/代名副詞
[4] hodiē 今日 ※「#副詞的奪格
[類義語] hōc diē
hūc こちらへ ※「/代名副詞
[派生語] adhūc (ここまで)
iam すでに、もう、
今、このときに、
まもなく
[別表記] jam
[類義語] ad hoc tempus; hōc tempore; nunc
[派生語] etiam, quoniam
ibi そこに、そのときに ※「/代名副詞
ideō それゆえに、
そしてそのように
[語源] id
igitur そしてそのように [類義語] itaque
#接続詞としても用いる副詞
[1] īlicō その場所に、
ただちに
※「/代名副詞
[語源] inlocō、[別形] illicō
illāc あそこを通って、
あのように
※「/代名副詞
illīc あの場所に、
あそこに、あちら側に
※「/代名副詞
illicō その場所に、
ただちに
※「/代名副詞
[語源] inlocō、[別形] īlicō
illinc あそこから、あちら側から ※「/代名副詞
illūc あそこへ、あちら側へ ※「/代名副詞
inde そこから ※「/代名副詞」  派生語多し
[類義表現] ab hoc loco
  ex aliquo temporis puncto
 (編集中)
interdiū (時間) 日中に、昼間に [語源] interdiū
[対義語] noctē, noctū 夜間に
interdum (時間) ときどき、時に [語源] interdum
[類義語] interim (ときどき)
[1] intereā (時間) その間に [語源] inter+代名詞の奪格
[類義語] interim
interim (時間) その間に [語源] inter+副詞的接尾辞 -im
[類義語] intereā
intrā 内側に #前置詞としても用いる副詞
ita そのように、
こうして
[派生語] itaque
※「/代名副詞
itaque そしてそのように [類義語] igitur
#接続詞としても用いる副詞
item 同じく、同じように、同様に ※「/代名副詞
iterum 再び、再度 [類義語] dēnuō, rursum, rūrsus
  jam ⇒ iam   を見よ
māne 朝に



  • inde そこから →deinde


  • quoque もまた、同様に
  •  
  •  
  •  
  • statim すぐに
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  


代名副詞[編集]

数副詞[編集]

関連:wikt:en:Category:Category:Latin frequency adverbs

副詞的対格[編集]

副詞的対格 (adverbial accusative) は、名詞・形容詞の対格形を副詞的に用いる用法。

関連:Category:Latin adverbial accusatives

副詞的奪格[編集]

名詞の奪格形は、副詞的対格ど同様に、副詞的に用いられることがある。


前置詞としても用いる副詞[編集]

副 詞 意味(副詞) 備 考  前置詞 意味(前置詞)
adversus,
adversum
向かって、面して
反対して
[類義語] contrā
adversus,
adversum
(方向)~に向かって、
~に反対して
[類義語] contrā
ante 前に、前方に、以前に ante (場所)の前に、の前面に、に面して、
(時)の以前に
circā まわりに、近くに circā ~のまわりに、~の近くに、
およそ~、~頃
circiter まわりに、
およそ
circiter ~のまわりに、
およそ~
circum まわりに 副詞的対格 circum ~のまわりに
citrā こちら側に
[対義語] ultrā
citrā ~のこちら側に
[対義語] ultrā
clam 隠れて、こっそり
[対義語] cōram
副詞的対格 clam ~に隠れて、~に知られずに
[対義語] cōram
contrā 逆らって、敵対して、
相対して、対して
[類義語] adversus, adversum
contrā ~に逆らって、~に敵対して、
~に対して、~に向かって
[類義語] adversus, adversum
cōram 面と向かって、
公然と [対義語] clam
cōram cōram ~の面前に
[対義語] clam
extrā 外側に [対義語] intrā extrā ~の外側に [対義語] intrā
intrā 内側に [対義語] extrā intrā ~の内側に [対義語] extrā


接続詞としても用いる副詞[編集]

副 詞 意味(副詞) 備 考  接続詞 意味(接続詞)
enim 確かに、もちろん、
疑いなく;実際
[類義語] certē,
sine ūllō dubiō
vērō
※接続詞とされたり、
副詞とされたりする[5]
enim 実際、
なぜなら、というのは
et ~もまた、同様に et ~と・・・、そして
[類義語] atque, ac,
-que(後置詞)
etiam ~もまた、
~でさえ、~ですら
[類義語] quoque
※接続詞とされたり、
副詞とされたりする[6]
etiam さらに、そのうえ
igitur そしてそのように
[類義語] et ita
igitur したがって、
それゆえに
itaque そしてそのように
[類義語] et ita
itaque したがって、
それゆえに



  • nec: (副詞・接続詞)
  • neque: (副詞・接続詞)
  • quoque もまた、同様に

変化する副詞[編集]

変化する副詞(declinable adverbs)は、さらに規則的変化不規則的変化に分けられる。

副詞の規則的変化[編集]

形容詞の語幹に語尾 , -iter (-ter), などを付したものなどがある。


語尾は、比較級では-ius に、最上級では-issimē に換えることが多い。

原 級 比較級 最上級  意 味 備 考
ācriter ācrius ācerrimē 激しく 形容詞ācerの語幹ācr+語尾-iter
aegrē aegrius aegrissimē 辛うじて 形容詞aegerの語幹aegr+語尾
altē altius altissimē 高く 形容詞altusの語幹alt+語尾
audācter audācius audācissimē 大胆に 形容詞audāxの語幹audāc+語尾-ter
【別形】 audāciter
beātē beātius beātissimē 幸福に 形容詞beātusの語幹beātu+語尾
breviter brevius brevissimē 短く 形容詞brevisの語幹+語尾-iter
celeriter celerius celerrimē 速く 形容詞celer+語尾-iter
certē certius certissimē 確かに、
もちろん、
疑いなく。
とにかく
形容詞certusの語幹cert+語尾
[類義語] certō
certō certius certissimē 確かに、
もちろん、
疑いなく
形容詞certusの語幹cert+語尾
[類義語] certē
citō citius citissimē 速く、
迅速に
形容詞citusの語幹cit+語尾
continuō continuius continuissimē ただちに 形容詞continuusの語幹continu+語尾
crēbrō crēbrius crēbrissimē しばしば 形容詞crēberの語幹crēbr+語尾
crūdēliter crūdēlius crūdēlissimē 残酷に 形容詞crūdēlisの語幹crūdēl+語尾-iter
[別形] crūdēl-ē, -ius, -issimē
[4] diū diūtius diūtissimē 長い間 [語源的関連語] diēs
[派生語] aliquamdiū, interdiū, quamdiū
[2] facile facilius facillimē 容易に 副詞的対格」を参照。
fēlīciter fēlīcius fēlīcissimē 幸福に 形容詞fēlīxの語幹fēlīc+語尾-iter
fortiter fortius fortissimē 強く、
勇敢に、
勇気を持って
形容詞fortisの語幹fort+語尾-iter
frequenter frequentius frequentissimē しばしば [語源] 現在分詞 frequēnsより+語尾-ter
[類義語] saepe
Latīnē Latīnius Latīnissime ラテン語で [語源] 形容詞 Latīnus, -a, -umの語幹Latīn+語尾
libenter libentius libentissimē 喜んで [語源] 現在分詞 libēnsより+語尾-ter
longē longius longissimē (空間)遠くに、
(時間)長く
[語源] 形容詞 longusの語幹long+語尾
prope propius proximē (空間)近くに、
(時間)近く
[類義語] propter, iuxtā
ほとんど、ほぼ [類義語] fere, fermē, paene



関連

副詞の不規則的変化[編集]

副詞の不規則的な変化(原級・比較級・最上級)は、それぞれ不規則に変化する形容詞の原級・比較級・最上級からつくられ、互いに類似性のない形をしているので、個別に覚えなければならない。

原 級 比較級 最上級 意 味 備 考
形容詞 bonus melior optimus 良い
bene
良く
melius [7]
より良く
optimē [8]
最も良く
良く
形容詞 magnus (maior) maximus 大きい
magnopere
大いに、非常に
magis
より多く、より以上に
maximē
最も、最大に、特に
大いに
形容詞 parvus minor minimus 少ない
parum
少なく
minus [9]
より少なく
minimē [10]
最も少なく、決して~ない
少なく




脚注[編集]

  1. ^ 1.0 1.1 1.2 #Barron's (2011)のp.37 "FROZEN" COMPOUNDS WITH A PREPOSITION AS ADVERBS を参照。
  2. ^ 2.0 2.1 2.2 #Barron's (2011)のp.36 ACC. SING. NEUTER OF THE ADJECTIVE AS ADVERBS を参照。
  3. ^ #Barron's (2011)のp.37 "FROZEN" CASE FORMS OF NOUNS AS ADVERBS > ACCUSATIVES を参照。
  4. ^ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 #Barron's (2011)のp.36 "FROZEN" CASE FORMS OF NOUNS AS ADVERBS > ABLATIVES を参照。
  5. ^ 教材・辞書によって、接続詞に分類されたり、副詞に分類されたりするが、ここでは接続詞・副詞とする。例えば、la:enim では副詞・接続詞、fr:enim では副詞、en:enim では接続詞、としている。
  6. ^ 教材・辞書によって、接続詞に分類されたり、副詞に分類されたりするが、ここでは接続詞・副詞とする。例えば、la:etiamfr:etiamde:etiam では接続詞、en:etiam では副詞としている。
  7. ^ 形容詞bonusの不規則的比較級meliorの中性・単数・主格/対格/呼格と同形。
  8. ^ 形容詞bonusの不規則的最上級optimusの語幹optimに語尾を付した形。
  9. ^ 形容詞parvusの不規則的比較級minorの中性・単数・対格と同形。
  10. ^ 形容詞parvusの不規則的最上級minimusの語幹minimに語尾を付した形。

参考文献[編集]

Barron's (2011)[編集]

  • Barron's Latin Grammar (2011)
    • p.35-39  6 Adverbs
      p.36 ACC. SING. NEUTER OF THE ADJECTIVE AS ADVERBS
      p.36 "FROZEN" CASE FORMS OF NOUNS AS ADVERBS > ABLATIVES
      p.37 "FROZEN" CASE FORMS OF NOUNS AS ADVERBS > ACCUSATIVES
      p.37 "FROZEN" COMPOUNDS WITH A PREPOSITION AS ADVERBS


関連項目[編集]

関連記事[編集]

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