民法第1018条
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(民法第1120条 から転送)
法学>民事法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)>民法第1018条
条文
[編集](遺言執行者の報酬)
- 第1018条
- 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
- 第648条第2項及び第3項並びに第648条の2の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。
改正経緯
[編集]2017年改正により、第648条の2が新設され「受任者の成果等に対する報酬」について規定されたため、第2項を以下の条項から改正した。
- 第648条第2項及び第3項の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。
解説
[編集]遺言執行者の報酬について定める。明治民法第1120条を継承するものであるが、制定時は遺言執行者は無償が原則であり、遺言に定められた場合及び裁判所が選任した場合に限り報酬を認めていた。
遺言執行者の報酬は、
- 遺言者が、遺言に定めたときはその額。
- その額に不同意であれば、民法第1006条第3項により、就任を辞退することができる。
- 遺言に報酬の定めがない場合又は民法第1010条により遺言執行者を家庭裁判所が選任する場合、家庭裁判所が定めることができる。
「受任者の報酬」のあてはめ
- 遺言執行者の報酬(第648条準用)
- 遺言執行者は、報酬を受けるべき場合には、遺贈に関する委託事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項(雇用契約 報酬の支払時期: 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。)の規定を準用する。
- 遺言執行者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
- 相続人その他利害関係人(以下、「相続人等」)の責めに帰することができない事由によって遺贈に関する委託事務の履行をすることができなくなったとき。
- 遺贈が履行の中途で終了したとき。
- 相続財産がないことが判明した、相続放棄等で相続人がいなくなった、遺言執行者の解任、遺言執行者の辞任についての許可によって遺言執行者の地位を喪失したとき
- 成果等に対する報酬(第648条の2準用)
- 遺贈に関する委託事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを遺言で定めた場合又は相続人等が約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
- 第634条(請負契約 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)の規定は、遺贈に関する委託事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。
- 次に掲げる場合において、遺言執行者が既にした遺贈に関する委託事務の結果のうち可分な部分の給付によって相続人等が利益を受けるときは、その部分を遺贈に関する委託事務の履行とみなす。この場合において、遺言執行者は、相続人等が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
- 相続人等の責めに帰することができない事由によって遺贈を完了することができなくなったとき。
- 遺言執行者が遺贈完了前に解任されたとき。
- 次に掲げる場合において、遺言執行者が既にした遺贈に関する委託事務の結果のうち可分な部分の給付によって相続人等が利益を受けるときは、その部分を遺贈に関する委託事務の履行とみなす。この場合において、遺言執行者は、相続人等が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
参照条文
[編集]- 遺言執行者ハ遺言ニ報酬ヲ定メタルトキニ限リ之ヲ受クルコトヲ得
- 裁判所ニ於テ遺言執行者ヲ選任シタルトキハ裁判所ハ事情ニ依リ其報酬ヲ定ムルコトヲ得
- 遺言執行者カ報酬ヲ受クヘキ場合ニ於テハ第六百四十八条第二項及ヒ第三項ノ規定ヲ準用ス
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