民法第198条

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法学民事法民法コンメンタール民法第2編 物権 (コンメンタール民法)

条文[編集]

(占有保持の訴え)

第198条
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

解説[編集]

占有訴権に関する規定の一つである。
占有保持の訴えとは、通常の物権における物権的請求権(妨害排除請求権)に相当する。
ただし、物権的請求権そのものの内容を示す規定は存在しない。
損害の賠償は、その性質は不法行為責任であるので、相手方の故意又は過失が必要である。

参照条文[編集]

民法第201条(占有の訴えの提起期間)

判例[編集]

  1. 村道供用妨害排除請求(最高裁判決 昭和39年01月16日) 地方自治法(昭和38年6月8日法律99号による改正前のもの)10条、民法第709条民法第710条
    1. 村民の村道使用関係の性質
      村民各自は、村道に対し、他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有する。
    2. 村民の村道使用権に対する侵害の継続と妨害排除請求権の成否
      村民の右村道使用の自由権に対して継続的な妨害がなされた場合には、当該村民は、右妨害の排除を請求することができる。
  2. 通行妨害排除(最高裁判決 平成9年12月18日) 民法第1条ノ2,民法第199条建築基準法第42条1項5号
    いわゆる位置指定道路の通行妨害と妨害排除請求権
     建築基準法42条1項5号の規定による位置の指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。
  3. 製作販売差止等請求事件(最高裁判決 平成16年02月13日)民法第199条,民法第206条,民法第709条,知的財産基本法第2条2項
    競走馬の所有者が当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対しいわゆる物のパブリシティ権の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることの可否
    競走馬の所有者は,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対し,その名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利(いわゆる物のパブリシティ権)の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできない。

前条:
民法第197条
(占有の訴え)
民法
第2編 物権

第2章 占有権

第2節 占有権の効力
次条:
民法第199条
(占有保全の訴え)
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