民法第508条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)>民法第508条
条文
[編集]- 第508条
- 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
解説
[編集]- 相殺についての特則規定である。
- 相殺適状に達している債権についての消滅時効の例外について定めている。相殺の期待を保護し、当事者間の公平を図るためである。
- 本条により、時効(除斥期間も含む;最判昭和51年03月04日)によって消滅した債権を自働債権として相殺するには、その消滅時効完成前に相殺適状にあったことが必要である。したがって、例えば消滅時効の完成した債権を譲り受けた者が、これを自働債権として相殺をすることはできない(最判昭和36年04月14日)。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 請求異議(最高裁判決 昭和36年04月14日) 民法第506条
- 時効にかかつた譲受債権を自働債権として相殺することの許否。
- 消滅時効にかかつた他人の債権を譲り受け、これを自働債権として相殺することは許されない。
- 印刷代金および反訴請求(最高裁判決 昭和51年03月04日) 民法第637条
- 民法637条所定の期間の経過した請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とし請負人の報酬請求権を受働債権としてする相殺と同法508条
- 注文者が民法637条所定の期間(旧・瑕疵担保責任追求の除斥期間、現在、契約不適合責任においても継承)の経過した請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とし請負人の報酬請求権を受働債権としてする相殺については、同法508条の類推適用がある。
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