民法第826条
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条文
[編集](利益相反行為)
- 第826条
- 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
- 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
解説
[編集]- 親権と利益相反行為、特別代理人に関する規定である。明治民法にも類似の規定(旧・民法第888条)があるが、請求先が家庭裁判所でなく「親族会」となっていた。
- 利益相反行為を、親権者が子を代理してした行為は、無権代理行為となる。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 土地建物所有権移転登記手続請求 (最高裁判決 昭和35年02月25日)民法第818条3項
- 親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法
- 親権者たる父母の一方に民法第826条第1項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。
- 民法826条第1項の利益相反行為の事例
- 甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利益を受けており、その利益も考慮してなされたものであるとしても、民法第826条第1項にいう利益相反行為である。
- 持分移転登記抹消登記手続履行請求(最高裁判決 昭和37年10月02日)
- 民法第826条の利益相反行為と行為の動機
- 親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を未成年の子の養育費に供する意図であつても、「利益相反行為」にあたる。
- 土地建物所有権移転登記抹消登記手続(本訴)家屋明渡(反訴)請求(最高裁判決 昭和43年10月08日)民法第369条
- 民法第八二六条の利益相反行為にあたるとされた事例
- 第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、民法第826条にいう利益相反行為にあたる。
- 相続回復(最高裁判決 昭和53年02月24日)民法第860条、民法第938条
- 共同相続人の一人である後見人が他の共同相続人である被後見人を代理してする相続の放棄が利益相反行為にあたらない場合
- 共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからが相続の放棄をしたのちにされたか、又はこれと同時にされたときは、民法860条によつて準用される同法826条にいう利益相反行為にあたらない。
参考
[編集]明治民法において、本条には以下の規定があった。第2項の趣旨は、民法第778条に継承されたが、第1項は廃止された。
- 夫カ未成年者ナルトキハ前条ノ期間(注.嫡出否認の訴えの出訴期間)ハ其成年ニ達シタル時ヨリ之ヲ起算ス但夫カ成年ニ達シタル後ニ子ノ出生ヲ知リタルトキハ此限ニ在ラス
- 夫カ禁治産者ナルトキハ前条ノ期間ハ禁治産ノ取消アリタル後夫カ子ノ出生ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス
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