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自然公園法第33条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学環境法自然公園法コンメンタール自然公園法

条文

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(普通地域)

第33条

  1. 国立公園又は国定公園の区域のうち特別地域及び海域公園地区に含まれない区域(以下「普通地域」という。)内において、次に掲げる行為をしようとする者は、国立公園にあつては環境大臣に対し、国定公園にあつては都道府県知事に対し、環境省で定めるところにより、行為の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を届け出なければならない。ただし、第一号、第三号、第五号及び第七号に掲げる行為で海域内において漁具の設置その他漁業を行うために必要とされるものをしようとする者は、この限りでない。
    一 その規模が環境省令で定める基準を超える工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が環境省令で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。
    二 特別地域内の河川湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
    広告物その他これに類する物を掲出し、若しくは設置し、又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。
    四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
    鉱物を掘採し、又は土石を採取すること(海域内においては、海域公園地区の周辺一キロメートルの当該海域公園地区に接続する海域内においてする場合に限る。)。
    六 土地の形状を変更すること。
    七 海底の形状を変更すること(海域公園地区の周辺一キロメートルの当該海域公園地区に接続する海域内においてする場合に限る。)。
  2. 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、普通地域内において前項の規定により届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。
  3. 前項の処分は、第一項の届出をした者に対しては、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、することができる。
  4. 環境大臣又は都道府県知事は、第一項の届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に第二項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、前項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の届出をした者に対し、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。
  5. 第一項の届出をした者は、その届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない。
  6. 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風景の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の期間を短縮することができる。
  7. 次の各号に掲げる行為については、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
    一 公園事業の執行として行う行為
    二 認定生態系維持回復事業等として行う行為
    第四十三条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
    四 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
    五 国立公園、国定公園若しくは海域公園地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
    六 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

   

解説

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本条は、国立公園又は国定公園において一定の行為をする場合には環境大臣等に対する届出をしなければならないことに関する規定である。届出制であるが、届出のあった場合、環境大臣等は一定の条件により、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる(第2項)、届出をした者は、その届出をした日から起算して30日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない(第4項 -第5項に短縮規定がある)という規定がある。

これは、届出といいながら行為の制限、禁止を可能とした、自然公園法(普通地域)、自然環境保全法(普通地区)の特徴的なものである。これは、自然環境保全法施行間もない頃の同法、自然公園法改正で導入されたものであるが、環境事務次官から各都道府県知事あて『自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律の施行について』(1973年12月18日公布環自企682号)によると、「適法に着手された行為をとらえてその行為の途中ないし完了後に行為の内容を大幅に変更させたり、禁止したりすることは、実際上困難な場合が多く、又、行為者にも相当の不利益を与えることとなる」という趣旨である。

  • 自然環境保全地域と自然公園の区域(地域)分け対比
自然環境保全地域 特別地区(自然環境保全法第25条
一定の行為についての許可制
海域特別地区(自然環境保全法第27条
一定の行為についての許可制
普通地区(自然環境保全法第28条
一定の行為についての届出制
自然公園 特別地域(自然公園法第20条
特別保護地区、利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
海域公園地区(自然公園法第22条
利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
普通地域(自然公園法第33条
一定の行為についての届出制

自然環境保全地域、自然公園とも、右に記載のいずれかの地区・地域に含まれる。



施行規則

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本条に直接関係する環境省令を一括して掲載する。

(普通地域内における行為の届出)

第十三条の十七

  1. 法第三十三条第一項 の規定による届出は、行為の種類、場所、施行方法、着手予定日及び第三項に規定する事項を記載した届出書を提出して行うものとする。
  2. 前項の届出書には、自然公園法施行規則第10条第二項各号に掲げる図面を添えなければならない。
  3. 法第三十三条第一項 の環境省令で定める事項は、次の各号に掲げるものとする。
    一 行為者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
    二 行為の目的
    三 行為地及びその付近の状況
    四 行為の完了予定日

(工作物の基準)

第十四条

法第三十三条第一項第一号 に規定する環境省令で定める基準は、次の各号に掲げる区域の区分に従い、工作物の種類ごとに当該各号に定めるとおりとする。
一 海域以外の区域
イ 建築物 高さ十三メートル又は延べ面積千平方メートル
ロ 送水管 長さ七十メートル
ハ 鉄塔 高さ三十メートル
ニ 船舶の係留施設 長さ五十メートル
ホ ダム 高さ二十メートル
ヘ 鋼索鉄道 延長七十メートル
ト 索道 傾斜亘長六百メートル又は起点と終点の高低差二百メートル
チ 別荘地の用に供する道路 幅員二メートル
リ 遊戯施設(建築物を除く。) 高さ十三メートル又は水平投影面積千平方メートル
二 海域の区域(次号の区域を除く。)
イ 船舶の係留施設又は港湾若しくは漁港の外郭施設 長さ五十メートル
ロ イに掲げる工作物以外の工作物 海面上の高さ五メートル又は海面における水平投影面積百平方メートル
三  海域公園地区の周辺一キロメートルの当該海域公園地区に接続する海域の区域
イ 導管又は電線 長さ七十メートル
ロ 船舶の係留施設又は港湾若しくは漁港の外郭施設 長さ五十メートル
ハ イ及びロに掲げる工作物以外の工作物 高さ五メートル又は水平投影面積百平方メートル

(普通地域内における届出を要しない行為)

第十五条

法第三十三条第七項第四号 に規定する環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 第十二条第一号から第十号の五まで、第十九号から第二十二号まで、第二十三号から第二十六号の二まで、第二十八号若しくは第二十九号に掲げる行為又は第十三条の三第二号から第四号まで、第六号、第九号、第十一号、第十二号若しくは第二十七号に掲げる行為
二 農業、林業、漁業若しくは鉱業の用に供する索道又は鉄道事業法施行規則 (昭和六十二年運輸省令第六号)第四十七条第二号 に規定する特殊索道のうち滑走式のものを新築し、改築し、又は増築すること。
宅地内の池沼等を埋め立てること。
土地改良法第二条第二項 各号に掲げる土地改良に関する事業(同項第四号 に掲げるものを除く。)として池沼等を埋め立てること。
五 宅地内の鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
六 露天掘りでない方法により、鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
七 鉱物を掘採し、又は土石を採取することであつて面積が二百平方メートル(海底にあつては百平方メートル)を超えず、かつ、高さが五メートルを超える法を生ずる切土又は盛土を伴わないもの
八 宅地内の土地の形状を変更すること。
九 工作物でない道又は河川その他の公共の用に供する水路の設置又は管理のために土地の形状を変更すること。
文化財保護法第九十二条第一項 に規定する埋蔵文化財の調査の目的で、土地の発掘のために土地の形状を変更すること。
十一 土地の開墾その他農業又は林業を営むために土地の形状を変更すること。
十二 養浜のために土地の形状を変更すること。
十三 土地又は海底の形状を変更することであつて面積が二百平方メートル(海底にあつては百平方メートル)を超えず、かつ、高さが五メートルを超える法を生ずる切土又は盛土を伴わないもの
十四 第十四条第一号に規定する基準を超える工作物の新築、改築又は増築(改築又は増築後において同号に規定する基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)以外の工作物の新築、改築又は増築を行うために、当該新築、改築又は増築を行う土地の区域内において土地の形状を変更すること。
十五 魚礁の設置その他漁業生産基盤の整備又は開発のための行為
十六 道路、駐車場、運動場、芝生で覆われた園地、植生のない砂浜その他の原状回復が可能な場所において、地域の活性化を目的とする自然を活用した催しを実施するため、工作物を新築し、改築し、若しくは増築し、広告物等を建築物の壁面に掲出し、若しくは設置し、若しくは工作物等に表示し、又は小規模に土地の形状を変更すること(一時的に行われ、当該催しの終了後遅滞なく原状回復が行われるものであり、かつ、当該催しに関し、地方公共団体が作成する次に掲げる事項を記載した計画であつて、当該催しの開始の日の三十日前までに、国立公園にあつては環境大臣、国定公園にあつては都道府県知事に提出されたものに基づき行われるものに限る。以下この号において「工作物の新築等」という。)。
イ 催しの名称、概要、主催者名、開催場所及び開催期間
ロ 風景の維持のために行われる措置の内容
ハ 原状回復を確実に実施するための体制及び方法並びにその実施期限
ニ 工作物の新築等に着手する十五日前までに、その概要を、国立公園にあつては環境大臣、国定公園にあつては都道府県知事に通知する旨
十七 前各号に掲げる行為に付帯する行為

参照条文

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前条:
自然公園法第32条
(条件)
自然公園法
第2章 国立公園及び国定公園
第四節 保護及び利用
次条:
自然公園法第34条
(中止命令等)


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