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自然環境保全法第25条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学環境法自然環境保全法コンメンタール自然環境保全法

条文

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(特別地区)

第25条

  1. 環境大臣は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。
  2. 第十四条第四項及び第五項の規定は、特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。
  3. 環境大臣は、特別地区を指定し、又はその区域を拡張するときは、あわせて、当該自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内において次項の許可を受けないで行なうことができる木竹の伐採(第十項に規定する行為に該当するものを除く。)の方法及びその限度を農林水産大臣と協議して指定するものとする。自然環境保全地域に関する保全計画で当該特別地区に係るものの変更(第二十三条第二項第三号に掲げる事項に係る変更以外の変更を除く。)をするときも、同様とする。
  4. 特別地区内においては、次に掲げる行為は、環境大臣の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、第一号若しくは第六号に掲げる行為で森林法第二十五条第一項 若しくは第二項 若しくは第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第四十一条 の規定により指定された保安施設地区(第二十八条第一項において「保安林等の区域」という。)内において同法第三十四条第二項 (同法第四十四条 において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係るもの、第二号に掲げる行為で前項の規定により環境大臣が指定する方法により当該限度内において行うもの又は第三号に掲げる行為で森林の整備及び保全を図るために行うものについては、この限りでない。
    一 第十七条第一項第一号から第五号までに掲げる行為
    二 木竹を伐採すること。
    三 環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷すること。
    四 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくこと。
    五 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)。
    六 環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
    道路広場牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
    八 前各号に掲げるもののほか、特別地区における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
  5. 第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
  6. 環境大臣は、第四項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
  7. 特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第四項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境大臣にその旨を届け出なければならない。
  8. 第四項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなつた時において既に当該行為に着手している者は、その規制されることとなつた日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
  9. 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境大臣に届け出たときは、第四項の許可を受けたものとみなす。
  10. 次の各号に掲げる行為については、第四項及び第七項の規定は、適用しない。
    自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行う行為
    二 認定生態系維持回復事業等(第三十条の三第一項の規定により行われる生態系維持回復事業及び同条第二項の確認又は同条第三項の認定を受けた生態系維持回復事業をいう。以下同じ。)として行う行為
    三 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省で定めるもの
    四 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

    

解説

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本条は、特別地区に関する規定である。

第1項は、環境大臣が、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができるという規定である。この、「環境大臣は…保全計画に基づいて」「(自然環境保全地域の)区域内に」指定することができるというのは、海域特別地区、普通地区も同様である。

第2項は、野生動植物保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更については、第14条の準用により、官報での公示により効力が発生することとなる趣旨の規定である。

第3項は、木竹の伐採の規制に関する農林水産大臣との協議の規定である。本法は、森林法との調整に関する規定が散見される。

  • 自然環境保全地域と自然公園の区域(地域)分け対比
自然環境保全地域 特別地区(自然環境保全法第25条
一定の行為についての許可制
海域特別地区(自然環境保全法第27条
一定の行為についての許可制
普通地区(自然環境保全法第28条
一定の行為についての届出制
自然公園 特別地域(自然公園法第20条
特別保護地区、利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
海域公園地区(自然公園法第22条
利用調整地区の指定も可
一定の行為についての許可制
普通地域(自然公園法第33条
一定の行為についての届出制

自然環境保全地域、自然公園とも、右に記載のいずれかの地区・地域に含まれる。



第4項以下は、許可の対象となる行為に関する規定である。

参照条文

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施行規則

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本条に直接関係する環境省令を一括して掲載する。なお、下記第17条、 第19条については、容量の観点から、自然環境保全法第25条関係省令に全文を掲載し、ここでは抄録のみにとどめる。


(特別地区及び海域特別地区内における行為の許可申請書)

第16条

第二条の規定は、法第二十五条第四項 及び法第二十七条第三項 の規定による許可の申請について準用する。

(特別地区内の行為の許可基準)

第17条(抄)

法第二十五条第六項 の環境省令で定める基準は、次の各号に掲げる行為の区分に従い、当該各号に定めるとおりとする。
一 工作物を新築すること。
二 工作物を改築すること。
三 工作物を増築すること。
四 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
五 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
六 水面を埋め立て、又は干拓すること。
七 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
八 木竹を伐採すること。
九 環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷すること。
十 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくこと。
十一 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)。
十二 環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
十三 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十四 (略)

(特別地区内における行為の制限の対象とならない国又は地方公共団体の行為)

第18条

法第二十五条第十項第三号 の環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 砂防法第一条 に規定する砂防設備を改築し、又は増築すること。
二 海岸法第二条第一項 に規定する海岸保全施設を改築し、又は増築すること。
三 地すべり等防止法第二条第三項 に規定する地すべり防止施設を改築し、又は増築すること。
四 河川法第三条第二項 に規定する河川管理施設(樹林帯を除く。)を改築し、若しくは増築すること又は河川を局部的に改良することであつて河川の現状に著しい変更を及ぼさないもの
五 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第二条第二項 に規定する急傾斜地崩壊防止施設を改築し、又は増築すること。
六 道路法第二条第一項 に規定する道路を改築し、又は増築すること(小規模の拡幅、舗装、こう配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものに限る。)。
七 港湾法第二条第六項 の規定により港湾施設とみなされた施設であつて、特別地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際現に同項 の規定による認定がなされているもの又は法第三十条 において準用する法第二十一条第一項 後段の規定による協議を了して設置されたものを改築し、又は増築すること。
八 下水道法第二条第三号 に規定する公共下水道、同条第四号 に規定する流域下水道又は同条第五号 に規定する都市下水路を改築し、又は増築すること。
九 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第二十八条第一項の規定に基づき環境大臣が指定する鳥獣保護区内において、同法第二十八条の二第一項の規定により国が行う保全事業又は同条第三項の規定により環境大臣に協議し、その同意を得た保全事業として木竹を損傷すること。
十 国又は地方公共団体が法令に基づきその任務とされている遭難者を救助するための業務(当該業務及び非常災害に対処するための業務に係る訓練を含む。)、犯罪の予防又は捜査その他の公共の秩序を維持するための業務その他これらに類する業務を行うために必要な範囲内で木竹を損傷すること。
十一 国又は地方公共団体が法令に基づきその任務とされている遭難者を救助するための業務(当該業務及び非常災害に対処するための業務に係る訓練を含む。)、犯罪の予防又は捜査その他の公共の秩序を維持するための業務、交通の安全を確保するための業務、水路業務その他これらに類する業務を行うために車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十二 前各号に掲げる行為に付帯する行為

(特別地区内における許可等を要しない行為)

第19条(抄)

法第二十五条第十項第四号 の環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 工作物を新築し、改築し、又は増築することであつて次に掲げるもの
二 建築物の存する敷地内において土地の形質を変更すること。
三 鉱物を掘採し、又は土石を採取することであつて次に掲げるもの
四 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせることであつて次に掲げるもの
五 木竹を伐採することであつて次に掲げるもの
六 建築物の存する敷地内の池沼等を埋め立てること。
七 環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷することであつて次に掲げるもの
八 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくことであつて次に掲げるもの
九 環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを放つこと(当該指定する動物が家畜である場合における当該家畜である動物の放牧を含む。)であつて次に掲げるもの
十 環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出することであつて次に掲げるもの
十一 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させることであつて次に掲げるもの
十二 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
十三 前各号に掲げる行為に付帯する行為又は法第二十五条第四項第一号 若しくは第六号 に掲げる行為で森林法第二十五条第一項 若しくは第二項 若しくは第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第四十一条 の規定により指定された保安施設地区内において同法第三十四条第二項 (同法第四十四条 において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係るものに付帯する行為若しくは法第二十五条第四項第二号 に掲げる行為で同条第三項 の規定により環境大臣が指定する方法により当該限度内において行うものに付帯する行為

前条:
自然環境保全法第24条
(自然環境保全地域に関する保全事業の執行)
自然環境保全法
第4章 自然環境保全地域
第二節 保全
次条:
自然環境保全法第26条
(野生動植物保護地区)


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