借地借家法第10条

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条文[編集]

(借地権の対抗力)

第10条
  1. 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
  2. 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

改正経緯[編集]

2017年改正[編集]

有償契約として民法第559条を通じ契約不適合責任が適用になったことにより、第3項及び第4項を削除。

第3項
民法(明治29年法律第89号)第566条第1項 及び第3項 の規定は、前2項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。
第4項
民法第533条 の規定は、前項の場合に準用する。
  • 民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任);改正後民法第565条に継承
  • 民法第533条(同時履行の抗弁)

制定時[編集]

  • 建物保護ニ関スル法律(建物保護法)を継承。
    第1条
    建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地ノ賃貸借ニ因リ地上権者又ハ土地ノ賃借人カ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スルトキハ地上権又ハ土地ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得
    第2条
    民法第五百六十六条第一項第三項及第五百七十一条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス買主カ契約ノ当時知ラサリシ地上権又ハ賃借権ノ効力ノ存スル場合亦同シ

解説[編集]

参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 土地賃借権確認請求(最高裁判決 昭和30年09月23日)建物保護に関する法律1条
    建物保護に関する法律により賃借権をもつて第三者に対抗し得る土地の範囲
    一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有するにいたつたときは、その後右土地が分筆され、建物の存在しない部分につき所有権を取得した者がある場合においても、これに対し賃借権を対抗することができる。
  2. 建物収去土地明渡等請求(最高裁判決 昭和44年12月23日) 建物保護に関する法律1条
    建物保護に関する法律1条の趣旨
    建物保護に関する法律1条は、登記した建物をもつて土地賃借権の登記に代用する趣旨であり、当該建物の登記に所在の地番として記載されている土地についてのみ、同条による賃借権の対抗力を生ずる。
  3. 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和47年06月22日)建物保護に関する法律1条
    土地の賃借人が借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有する場合と建物保護に関する法律1条の対抗力
    土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもつて対抗することができない。
    • 右法条により土地の賃借人がその賃借権を第三者に対抗しうるためには、その賃借人が借地上に自己の名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有していることが必要であつて、その賃借人が他人の名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有しているにすぎない場合には、その賃借権を第三者に対抗することができない。

前条:
借地借家法第9条
(強行規定)
借地借家法
第2章 借地
第2節 借地権の効力
次条:
借地借家法第11条
(地代等増減請求権)
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