刑事訴訟法第210条
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法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
条文
[編集](緊急逮捕)
- 第210条
- 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
- 第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
改正経緯
[編集]以下のとおり改正。2025年6月1日施行。
- 2022年刑法改正による
- (改正前)懲役若しくは禁錮
- (改正後)拘禁刑
- 文言調整
- (改正前)充分な
- (改正後)十分な
解説
[編集]参照条文
[編集]判例
[編集]- 森林法違反、公務執行妨害、傷害(最高裁判決昭和30年12月14日)憲法第33条
- 刑訴第210条の緊急逮捕の規定は合憲か
- 刑訴第210条の緊急逮捕の規定は憲法第33条に違反しない。
- 刑訴210条は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない。
- 麻薬取締法違反(最高裁判決昭和36年6月7日)憲法第33条,憲法第35条,刑訴法220条,刑訴法309条,刑訴法326条
- 被疑者の緊急逮捕に着手する以前その不在中になされた捜索差押は適法か
- 司法警察官の職務を行う麻薬取締官が麻薬不法譲渡罪の被疑者を緊急逮捕すべくその自宅に赴いたところ、被疑者が他出中であつたが、帰宅次第逮捕する態勢をもつて同人宅の捜索を開始し、麻薬を押収し、捜索の殆んどを終る頃帰宅した同人を適法に緊急逮捕した本件の場合の如く、捜索差押が緊急逮捕に先行したとはいえ、時間的にはこれに接着し、場所的にも逮捕の現場でなされたものであるときは、その捜索差押を違憲違法とすべき理由はない。
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