刑法第236条
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条文
[編集](強盗)
- 第236条
- 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期拘禁刑に処する。
- 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
改正経緯
[編集]2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
[編集]参照条文
[編集]- 刑法第243条(未遂罪)
- 未遂は、罰する。
- 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律(盗犯等防止法)第2条
- 常習として左の各号の方法に依り刑法<略>第236条<略>の罪又は其の未遂罪を犯したる者に対し<略>強盗を以て論ずべきときは7年以上の有期懲役に処す
- 兇器を携帯して犯したるとき
- 2人以上現場に於て共同して犯したるとき
- 門戸牆壁等を踰越損壊し又は鎖鑰を開き人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若は艦船に侵入して犯したるとき
- 夜間人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若は艦船に侵入して犯したるとき
- 常習として左の各号の方法に依り刑法<略>第236条<略>の罪又は其の未遂罪を犯したる者に対し<略>強盗を以て論ずべきときは7年以上の有期懲役に処す
- 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条
- 常習として前条【盗犯等防止法第2条】に掲げたる刑法各条の罪又は其の未遂罪を犯したる者にして其の行為前10年内に此等の罪又は此等の罪と他の罪との併合罪に付3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又は其の執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る
判例
[編集]- 強盗、強姦(最高裁判決昭和23年7月22日)
- 強盗罪における「他人ノ財物」の判示程度
- 強盗罪の構成要件たる「他人ノ財物」を判示するには、犯人及び共犯者以外の者の所有に属する如何なる財物なりや等要するに、法令の適用の基礎を明らかにするに必要な程度に具体的であれば足りる。
- 強盗(最高裁判決昭和23年12月24日)
- 被害者不知の間になされた財物の奪取と強盗罪
- 強盗犯人が被害者を脅迫しその犯行を抑圧中に財物を奪取すれば、その奪取行為がたまたま被害者の気付かない間になされたものであつても、強盗罪が成立する。
- 強盗傷人(最高裁判決昭和24年2月15日)
- 強盗罪の成立
- 暴行脅迫を用いて財物を奪取する犯意の下に、先ず他人の手にする財物を奪取し、次いで被害者に暴行を加えてその奪取を確保した場合は、強盜罪を構成する。
- 強盗(最高裁判決昭和24年6月14日)
- 強盗の既遂時期
- 強盜の目的で会社の事務所に押入り、居合わせた事務員全部を縛つて、そこに有つた洋服類を着込みその他の物は、荷造りをして持出すばかりにした以上は強盜の既遂を以て論ずべきである。
- 強盗、住居侵入(最高裁判決昭和24年12月3日)刑法第43条
- 犯行現場での逮捕と強盜既遂罪の成立
- 被告人等第在宅の家人五人全部を縛り上げ目隠をした後一時間に亘り家内の金品を取出し現金をポケツトに入れ衣類等或は行李、リツクサツクにつめ込み、或は風呂敷に包み、或は着込み又は懐中したときは金品を自己の実力支配内においたことは明らかであるから被告人等が右金品を戸外に持出す前現場で逮捕されたことは強盜既遂罪の成立に影響がない。
- 強姦致傷、強姦、殺人、死体遺棄、窃盗(最高裁判決昭和41年4月8日)
- 人を殺害した後被害者が身につけていた財物を奪取した行為が窃盗罪にあたるとされた事例
- 野外において人を殺害した後、領得の意思を生じ、右犯行直後その現場で、被害者が身につけていた腕時計を奪取する行為は、窃盗罪を構成する。
- 披告人は、当初から財物を領得する意思は有していなかつたが、野外において、人を殺害した後、領得の意思を生じ、右犯行直後、その現場において、被害者が身につけていた時計を奪取したのであつて、このような場合には、被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続して保護するのが法の目的にかなうものというべきである。そうすると、被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して右財物を奪取した一連の被告人の行為は、これを全体的に考察して、他人の財物に対する所持を侵害したものというべきであるから、右奪取行為は、占有離脱物横領ではなく、窃盗罪を構成するものと解するのが相当である
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