ラテン文学の作家と著作/黄金期
はじめに
[編集]ここでは、古典ラテン文学黄金期に著作を表した作家(Golden Age Latin writers )とその著作について、それぞれ紹介する。
黄金期は、さらに、
- 共和制末期「キケローの時代」
- 帝制初期「アウグストゥス時代」(Augustan literature )
に細分化されている。
著名な作家の一覧
[編集]ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。
日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。
時代 区分 |
生没年 | 日本語名 | ラテン語名 | 英語名 | 仏語名 | 全 名 | ジャンル | 代表作 | 備 考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
共和制 末期 |
前116-27 | ウァッロー (ウァロ、ワロ) |
Varro | Varro | Varron | Marcus Terentius Varro |
博物学 | 『農業論』 ほか、散逸多数 |
ローマ最大の 人文学者 |
共和制 末期 |
前114-50 | ホルテーンシウス | Hortensius Hortalus | Quintus Hortensius |
Quintus Hortensius Hortalus |
Quintus Hortensius Hortalus |
弁論 ・年代記など |
(散逸) | キケローの好敵手として有名 |
共和制 末期 |
前110頃-66 | リキニウス・マケル | Licinius Macer | Licinius Macer | Licinius Macer | Gaius Licinius Macer |
弁論 ・年代記 |
『年代記』 | |
共和制 末期 |
前110-32 | アッティクス | Atticus | Atticus | Atticus | Titus Pomponius Atticus |
著述 | 『年代記』 | キケローの親友として有名 |
共和制 末期 |
前106-43 | キケロー | Cicero | Cicero | Cicéron | Marcus Tullius Cicero |
弁論・ 哲学 |
『カティリーナ弾劾』 『義務について』 ほか多数 |
ラテン散文の 完成者・模範 とみなされる |
共和制 末期 |
前100-44 | カエサル | Caesar | Caesar | César | Gaius Iulius Caesar |
戦記 | 『ガリア戦記』 『内乱記』 |
キケローと並ぶ ラテン散文の 完成者・模範 |
共和制 末期 |
前100頃-25頃 | ネポース | Cornelius Nepos |
Nepos | Népos | Cornelius Nepos |
伝記 | 『著名な人物について』 ほか、散逸 |
|
共和制 末期 |
前99頃-55頃 | ルクレーティウス | Lucretius | Lucretius | Lucrèce | Titus Lucretius Carus |
哲学的叙事詩 | 『物の本性について』 | |
共和制 末期 |
前86-35 | サッルスティウス | Sallustius | Sallust | Salluste | Gaius Sallustius Crispus |
歴史 | 『カティリーナの陰謀』 『ユグルタ戦記』 |
|
共和制 末期 |
前82頃-47 | カルウス | Calvus | Calvus | Calvus | Gaius Licinius Macer Calvus |
弁論・詩 | (散逸) | |
共和制 末期 |
前105頃-43 | ラベリウス | Laberius | Laberius | Laberius | Decimus Laberius |
ミモス劇 | ||
共和制 末期 |
前85頃-43 | シュルス (シルス) |
Syrus | Syrus | Syrus | Publilius Syrus |
ミモス劇 ・格言 |
『格言集』 | |
共和制 末期 |
前84頃-54頃 | カトゥッルス | Catullus | Catullus | Catulle | Gaius Valerius Catullus |
抒情詩・ 恋愛詩 |
『詩集』 | |
帝制 初期 |
前80/50-15以後 | ウィトルーウィウス | Vitruvius | Vitruvius | Vitruve | Marcus Vitruvius Pollio |
建築、 軍事技術 |
『建築について』 | |
帝制 初期 |
前75-後4 | アシニウス・ポッリオ | Asinius Pollio | Asinius Pollio |
Asinius Pollion |
Gaius Asinius Pollio |
詩、劇作、 歴史など |
(伝存せず)[1] | |
帝制 初期 |
前70頃-26 | ガッルス(ガルス) | Gallus | Gallus | Gallus | Gaius Cornelius Gallus |
エレゲイア詩、弁論 | (ほぼ散逸) | ラテン語エレゲイア詩 の創始者、大詩人 |
帝制 初期 |
前70-19 | ウェルギリウス | Vergilius | Virgil | Virgile | Publius Vergilius Maro |
叙事詩 | 『アエネーイス』 『牧歌』 『農耕詩』 |
黄金期の最高の詩人 とみなされる |
帝制 初期 |
前65-8 | ホラーティウス | Horatius | Horace | Horace | Quintus Horatius Flaccus |
抒情詩 | 『詩論』 『歌章』 『諷刺詩』 『書簡詩』 |
黄金期の三大詩人の 一人とされる |
帝制 初期 |
前64頃-後17 | ヒュギーヌス | Hyginus | Hyginus | Hygin | Gaius Iulius Hyginus |
博物 | 『神話集』など。 散逸多数。 |
|
帝制 初期 |
前59頃-後17 | リーウィウス | Livius | Livy | Tite -Live |
Titus Livius |
年代記 | 『ローマ建国 以来の歴史』 |
彼の著作は 黄金期の白眉 と評される |
帝制 初期 |
前55頃-前19 | ティブッルス | Tibullus | Tibullus | Tibulle | Albius Tibullus |
エレゲイア詩 | 詩集 | |
帝制 初期 |
前55-後20 | ウェッリウス・フラックス | Verrius Flaccus | Verrius Flaccus |
Verrius Flaccus |
Marcus Verrius Flaccus |
ラテン語文法 | ||
帝制 初期 |
前43-後17頃 | オウィディウス | Ovidius | Ovid | Ovide | Publius Ovidius Naso |
エレゲイア詩 | 『変身物語』 『祭暦』 『名婦の書簡』 『愛の技法』 『悲歌』 |
黄金期の三大詩人の 一人とされる |
帝制 初期 |
前50頃-前15頃 | プロペルティウス | Propertius | Propertius | Properce | Sextus Propertius |
エレゲイア詩 | 『詩集』 | エレゲイア詩 の完成者 |
帝制 初期 |
前1世紀頃 | ポンペイウス ・トログス |
Pompeius Trogus |
Pompey Trogue |
Trogue Pompée |
Gnaeus Pompeius Trogus |
博物 | 『ピリッポス史』 『動物について』 |
|
帝制 初期 |
後1世紀初め頃 | マーニーリウス | Manilius | Manilius | Manilius | Marcus Manilius |
叙事詩的 教訓詩 ・占星術 |
『アストロノミカ』 (占星術書) |
|
帝制 初期 |
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目次
[編集]- 共和制末期「キケローの時代」の作家
- #ウァッロー
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- #カエサル
- #コルネリウス・ネポース
- #ルクレーティウス
- #サッルスティウス
- #ラベリウス
- #プブリリウス・スュルス(シュルス)
- #カトゥッルス
- 帝制初期「アウグストゥス時代」の作家
- #ウィトルーウィウス
- #アシニウス・ポッリオ
- #ウェルギリウス
- #ホラーティウス
- #ヒュギーヌス
- #リーウィウス
- #ティブッルス
- #オウィディウス
- #プロペルティウス
- #ポンペイウス・トログス
- #マーニーリウス
- そのほかの作家
- #アッティクス
- #ウェッリウス・フラックス
- #ガッルス
- #カルウス
- #ホルテーンシウス
- #リキニウス・マケル
ウァッロー
[編集]キケロー
[編集]カエサル
[編集]コルネリウス・ネポース
[編集]ルクレーティウス
[編集]サッルスティウス
[編集]ラベリウス
[編集]プブリリウス・スュルス
[編集]カトゥッルス
[編集]ウィトルーウィウス
[編集]アシニウス・ポッリオ
[編集]ウェルギリウス
[編集]ホラーティウス
[編集]ヒュギーヌス
[編集]リーウィウス
[編集]ティブッルス
[編集]オウィディウス
[編集]プロペルティウス
[編集]ポンペイウス・トログス
[編集]マーニーリウス
[編集]そのほかの作家
[編集]アッティクス
[編集]ティトゥス・ポンポーニウス・アッティクス(Titus Pomponius Atticus:前110/109-32)は、ローマ共和制期の富豪・文芸愛好家・作家。#キケローの親友としてよく知られる。
キケローが前68年~前44年に彼に宛てた手紙を、アッティクス自身がすべて公開し、これは『アッティクス宛書簡集』(Epistulae ad Atticum)として知られる。また、伝記作家#コルネリウス・ネポースは、アッティクスの伝記を著している。アッティクス自身の著作はほぼ散逸したが、ローマの政治史や文学史を扱った『年代記』(Liber annalis)1巻のみが伝存する。詳しくは、次の記事を参照。
ウェッリウス・フラックス
[編集]マルクス・ウェッリウス・フラックス(Marcus Verrius Flaccus:前55頃-後20)は、帝制初期にアウグストゥス帝に仕えた文法家。
ガッルス
[編集]ガーイウス・コルネーリウス・ガッルス(Gaius Cornelius Gallus:前70頃-26)は、ローマの政治家・弁論家・詩人。エレゲイア詩を書いたとされるが、散逸して残っていない。
カルウス
[編集]ガーイウス・リキニウス・マケル・カルウス(Gaius Licinius Macer Calvus:前82-47年)は、ローマの弁論家・詩人。弁論においては#キケローに劣らぬ名声があり、詩人としても#カトゥッルスと並ぶほどであったが、その作品はわずかな断片が残るのみである。年代記作家#リキニウス・マケルの息子。詳しくは、次の記事を参照。
ホルテーンシウス
[編集]クゥイーントゥス・ホルテーンシウス・ホルタルス(Quintus Hortensius Hortalus:前114-50)は、ローマの政治家・弁論家。ローマにおける弁論の第一人者で、#キケローの好敵手として知られる。詳しくは、次の記事を参照。
リキニウス・マケル
[編集]ガーイウス・リキニウス・マケル(Gaius Licinius Macer:前118頃-66頃)は、ローマの政治家・年代記作家。息子は、弁論家・詩人の#カルウス。
ローマ建国以来の『年代記』(Annales)(少なくとも21巻)を著したが、そのほとんどは散逸した。弁論家としても名声があった。詳しくは、次の記事を参照。
脚 注
[編集]参考文献
[編集]関連項目
[編集]- 英語版記事
- 仏語版記事
- ラテン語版記事