刑事訴訟法第199条
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法学>コンメンタール>コンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂
条文
[編集](逮捕状による逮捕)
- 第199条
- 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
- 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
- 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。
改正経緯
[編集]2023年改正により、第2項を以下のとおり改正。
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- (改正前)以下本条において同じ。
- (改正後)次項及び第201条の2第1項において同じ。
- 「但し、」を「ただし、」に改正。
解説
[編集]- いわゆる「通常逮捕」と呼ばれるものである。逮捕のためには、嫌疑の相当性(197条1項本文)、逮捕の必要性(199条2項ただし書、刑事訴訟法規則142条の2)が要件とされる。
- 取調べ目的の逮捕は否定されている。任意の取り調べに対する不出頭の場合、原則としては「逮捕の必要性」は認められないが、不出頭が重なることによって「逮捕の必要性」が推認される場合がある。
- 逮捕の際の実力行使については、逮捕のために必要かつ相当と認められる範囲において許容される。
参照条文
[編集]- 憲法第33条
- 緊急逮捕(刑事訴訟法第210条)
- 準現行犯逮捕(刑事訴訟法第212条2項)
- 現行犯逮捕(刑事訴訟法第213条)
- 刑事訴訟法規則142条の3
判例
[編集]- 強盗強姦、強盗殺人、死体遺棄、恐喝未遂、窃盗、森林窃盗、傷害、暴行、横領害(狭山事件 最高裁判決昭和52年8月9日)憲法第33条,刑事訴訟法第60条,刑事訴訟法第198条1項/2項
- 甲事実について逮捕勾留中の被疑者を乙事実について取調べることが違法ではないとされた事例
- 甲事実について逮捕・勾留の理由と必要があり、甲事実と乙事実とが社会的事実として一連の密接な関連がある場合、甲事実について逮捕・勾留中の被疑者を、同事実について取調べるとともに、これに付随して乙事実について取調べても、違法とはいえない。
- 第一次逮捕・勾留は、その基礎となつた被疑事実について逮捕・勾留の理由と必要性があつたことは明らかである。そして、「別件」中の恐喝未遂と「本件」とは社会的事実として一連の密接な関連があり、「別件」の捜査として事件当時の被告人の行動状況について被告人を取調べることは、他面においては「本件」の捜査ともなるのであるから、第一次逮捕・勾留中に「別件」のみならず「本件」についても被告人を取調べているとしても、それは、専ら「本件」のためにする取調というべきではなく、「別件」について当然しなければならない取調をしたものにほかならない。それ故、第一次逮捕・勾留は、専ら、いまだ証拠の揃つていない「本件」について被告人を取調べる目的で、証拠の揃つている「別件」の逮捕・勾留に名を借り、その身柄の拘束を利用して、「本件」について逮捕・勾留して取調べるのと同様な効果を得ることをねらいとしたものである、とすることはできない。
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