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民法第811条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

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(協議上の離縁等)

第811条
  1. 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
  2. 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
  3. 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その双方又は一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
  4. 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。 この場合においては、第819条第7項の規定を準用する。
  5. 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
  6. 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

改正経緯

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2024年改正(2024年(令和6年)5月21日公布、施行日未定、公布より2年以内に施行する)にて、以下のとおり改正。

  1. 第3項
    (改正前)その一方を養子の離縁後に
    (改正後)その双方又は一方を養子の離縁後に
  2. 第4項
    後段を新設。

解説

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Wikipedia
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ウィキペディア離縁の記事があります。
養子縁組は当事者(養親・養子)の協議のみで解消(離縁)することができる。明治民法第862条を継承するものである。ただし、離婚と異なり、養子の身分に関する行為能力がない場合や養親子の一方の死亡後の離縁が想定されるため、未成年者の福祉の観点などから、協議の内容に関して要件が追加されている。
  1. 離縁において、養子が15歳未満である場合
    1. 養子ではなく離縁後に法定代理人となるべき者(多くの場合、養子の実親)と養親の間で協議をする。
    2. この場合で、養子の実親が離婚をしている場合は、離縁後、養子であったものの親権者を協議で定めなければならない。本協議が不調又は不能の場合、家庭裁判所は協議に代わる審判を行うことができる。
    3. 実親等法定代理人になるべき者がいない(実親がいても法定代理人とするのに不適当な場合を含む)場合は、家庭裁判所が、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
  2. 養親子の一方が死亡した後、生存当時者が離縁を望む場合、家庭裁判所の許可を得て、離縁をすることができる。
    婚姻の場合、配偶者死亡後の離婚は制度上認められてはいないが、意思表示のみで姻族関係を終了することができる(第728条)のに対して、養子制度の場合、養親子の一方が死亡後の離縁を、家庭裁判所の許可即ち正当な理由が存在することの判定を条件に認める。

参照条文

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参考

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明治民法において、本条には離婚の届出の受理に関する以下の規定があった。戦後改正において、民法第765条に継承された。

  1. 戸籍吏ハ離婚カ第七百七十五条第二項及ヒ第八百九条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ其届出ヲ受理スルコトヲ得ス
  2. 戸籍吏カ前項ノ規定ニ違反シテ届出ヲ受理シタルトキト雖モ離婚ハ之カ為メニ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ

前条:
民法第810条
(養子の氏)
民法
第4編 親族

第3章 親子

第2節 養子
次条:
民法第811条の2
(夫婦である養親と未成年者との離縁)
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