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行政事件訴訟法第33条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタール行政事件訴訟法

条文

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(取消判決等の効力2)

第33条
  1. 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
  2. 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
  3. 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
  4. 第1項の規定は、執行停止の決定に準用する。

解説

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参照条文

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判例

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  1. テレビジョン放送局の開設に関する予備免許処分・同免許申請棄却処分並びにこれが異議申立棄却決定取消請求(最高裁判決昭和43年12月24日)電波法第94条電波法第99条
    1. 競願関係にある者の一人に免許が付与され他にこれが拒否された場合と取消訴訟の提起
      甲および乙が競願関係にある場合において、甲の免許申請が拒否され、乙に免許が付与されたときは、甲は、乙に対する免許処分の取消訴訟を提起することができるほか、自己に対する拒否処分のみの取消訴訟を提起することができる。
    2. 競願関係にある者の一人に免許が付与され当該免許期間が満了して再免許が付与された場合と免許処分等の取消訴訟の利益
      甲が、乙に対する免許処分の取消を訴求する場合および自己に対する拒否処分の取消を訴求する場合において、当該免許期間が満了しても、乙が再免許を受けて免許事業を継続しているときは、甲の提起した訴訟の利益は失われない。
    3. 電波法94条第2項にいう「電波監理審議会が認定した事実」の意味
      甲および乙が同一周波の免許をめぐつて競願関係にあり、甲が自己に対する免許拒否処分を不服として異議申立をした場合に、電波法第94条に基づく郵政大臣の決定書に記載すべき「電波監理審議会が認定した事実」とは、当該免許にかかる放送実施の確実性および放送の公正かつ能率的普及への適合の度合について、両者の優劣を比較考量するに足りる具体的事実をいうものと解すべきである。
    4. 電波法第94条による郵政大臣の決定に前項の認定事実の記載を欠く場合と裁判所独自の証拠調による事実の確定の許否
      前項の場合において、郵政大臣の決定書に甲および乙の優劣を比較考量するに足りる具体的事実の記載がないときに、裁判所が、あらたな証拠調によつてみずから自由に事実を確定し、これに基づいて右決定書に表示された電波監理審議会の判断の適否を審査することは許されない。
  2. 審決取消(最高裁判決平成4年04月28日) 特許法第29条2項,特許法第123条特許法第181条
    1. 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた場合と再度の審決の取消訴訟における主張立証
      特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされ、その拘束力に従って同一引用例から右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決がされた場合、その取消訴訟において、同一引用例から右発明を容易に発明することができることを主張立証することは、許されない。
    2. 特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた後に同一引用例の外に他の引用例等からも右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決が取消判決の拘束力に従ったものとして適法であるとされた事例
      特定の引用例から当該発明を容易に発明することができたとはいえないことを理由として特許無効審決の取消判決がされた後の再度の審判手続において、同一引用例の外に他の引用例等からも右発明を容易に発明することができたとの主張がされた場合でも、追加された引用例等のみから容易に発明することができたと主張するものではなく、また、右引用例等が前訴で検討された特定の引用例とあいまって初めて容易に発明することができたと主張するものでないときは、右特定の引用例及び追加された引用例等から右発明を容易に発明することができたとはいえないとした再度の審決は、取消判決の拘束力に従ったものとして、その取消訴訟でこれを違法とすることはできない。
  3. 労災保険不支給処分取消(最高裁判決平成5年02月16日) 労働者災害補償保険法第3条労働者災害補償保険法第7条1項1号,労働者災害補償保険法第12条の8第1項,労働者災害補償保険法12条の8第2項,労働者災害補償保険法附則第57条2項,労働基準法附則第129条行政事件訴訟法第3条1項
    1. 労働者災害補償保険法施行前に従事した業務に起因して同法施行後に生じた疾病と同法12条の8に基づく保険給付
      労働者災害補償保険法施行後に生じた疾病は、同法施行前の業務に起因するものであっても、同法12条の8所定の保険給付の対象となる。
    2. 労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定を疾病の業務起因性の有無についての認定・判断を留保した上で取り消すことができる場合
      被災者の疾病が労働者災害補償保険法に基づく保険給付の対象となり得ないとの理由で、その業務起因性の有無について判断することなくされた右給付の不支給決定の取消訴訟において、当該疾病が右給付の対象となり得るものと解すべき場合には、右業務起因性の有無についての認定、判断を留保した上、右決定を取り消すことができる。
  4. 町議会議員除名処分執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告(最高裁判決平成11年01月11日) 地方自治法第135条1項4号,行政事件訴訟法第25条2項,公職選挙法第112条5項
    地方議会議員の除名処分の効力停止決定と除名に基づく繰上補充による当選の効力
    地方議会議員の除名処分の効力停止決定がされることによって、除名による欠員が生じたことに基づいて行われた繰上補充による当選人の定めはその根拠を失うことになり、選挙管理委員会は、右当選人の定めを撤回し、その当選を将来に向かって無効とすべき義務を負う。

前条:
第32条
(取消判決等の効力)
行政事件訴訟法
第2章 抗告訴訟
第1節 取消訴訟
次条:
第34条
(第三者の再審の訴え)
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