軽犯罪法第2条
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条文
[編集]- 第2条
- 前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
解説
[編集]軽犯罪法第1条では、その罪に対して拘留または科料に処すると規定しているが、本条は、その罪を犯した者に対し、事情により、その刑を(1)免除し、または、(2)拘留および科料を併科することができることを定めている。
これは、第1条が罪の種類により刑の区別を設けておらず、拘留・科料には執行猶予の言い渡しもできないことから、具体的事案に対して適正な量刑を科すために、ある程度の量刑の幅を持たせることが望ましいとされるためである。また、成立当時の手続面から見ても、軽犯罪法は刑事訴訟法所定の手続きにより、裁判所において処理することとされたため、量刑に当たって裁量の幅を拡張しても被告人の人権を不当に侵害するおそれがないと考えられたためである。
免除
[編集]情状に照らし、その罪に対して科料または科料のいずれかの最下限を科すとしても刑が重いと判断される場合には、裁判官はその刑を免除することができる。
なお、「免除」は犯罪の証明があったこと、すなわち有罪であることが前提となり、判決でその旨が言い渡される。
併科
[編集]情状に照らし、その罪に対して拘留または科料のいずれかの最上限を科すとしても刑が不十分と判断される場合には、裁判官は拘留および科料の両方を科することができる。
なお、第1条各号のうち2つの号にわたって違反行為があり、一方の罪に対して拘留を科し、もう一方の罪に対して科料を科した場合の併科は、本条の規定ではなく、刑法第53条に規定する併科となる。
参照条文
[編集]- 刑法第16条(拘留)
- 刑法第17条(科料)
- 刑法第25条(刑の全部の執行猶予)
- 刑法第53条(拘留及び科料の併科)
- 刑事訴訟法第333条
- 刑事訴訟法第334条
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 橋本裕藏著 『軽犯罪法の解説 4訂版』 一橋出版、1999年9月20日。ISBN 9784834835021。
- 伊藤榮樹原著、勝丸充啓改訂 『軽犯罪法 新装第2版』 立花書房、2013年9月20日。ISBN 9784803743302。
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