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民法第771条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

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(協議上の離婚の規定の準用

第771条
第766条から第769条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。

解説

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裁判上の離婚において、以下の条項につき、それぞれ離婚の効果一般についての規定であるため、準用する。明治民法第819条を継承。
以下適用につき当てはめる。各々、協議等により定めることが規定されているが、裁判上の離婚においては、離婚判決の付帯処分とすることができる。
  • 第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
    子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項を、判決で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない
  • 第767条(離婚による復氏等)
    1. 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚によって婚姻前の氏に復する。
    2. 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
  • 第768条(財産分与)
    離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  • 第769条(離婚による復氏の際の権利の承継)
    婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第897条第1項の権利(祭祀に関する権利)を承継した後、離婚をしたときは、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
一方、民法第764条(婚姻の規定の準用)や民法第765条(離婚の届出の受理)は、離婚の意思表示や届出を前提とする規定であることから、裁判上の離婚の規定への準用はなされない。

参照条文

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判例

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  1. 慰籍料請求(最高裁判決 昭和31年02月21日)
    1. 離婚と慰藉料請求権
      夫婦がその一方甲の有責不法な行為によつて離婚のやむなきに至つたときは、その行為が必ずしも相手方乙の身体、自由、名誉等に対する重大な侵害行為にはあたらない場合でも、乙は、その離婚のやむなきに至つたことについての損害の賠償として、甲に対し慰藉料を請求することができる。
    2. 離婚の場合における慰藉料請求権と財産分与請求権との関係
      前項の場合において、乙が甲に対し、財産分与請求権を有することは、慰藉料請求権の成立を妨げるものではない。
  2. 離婚等(最高裁判決 昭和53年11月14日)民法第768条3項,人事訴訟手続法第15条
    離婚訴訟における財産分与と過去の婚姻費用分担の態様の斟酌
    離婚訴訟において裁判所が財産分与を命ずるにあたつては、当事者の一方が婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる。

参考

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明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、民法第736条に継承された。

養子、其配偶者、直系卑属又ハ其配偶者ト養親又ハ其直系尊属トノ間ニ於テハ第七百三十条ノ規定ニ依リ親族関係カ止ミタル後ト雖モ婚姻ヲ為スコトヲ得ス

前条:
民法第770条
(裁判上の離婚)
民法
第4編 親族

第2章 婚姻

第4節 離婚
次条:
民法第772条
(嫡出の推定)
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