民法第766条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
条文[編集]
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
- 第766条
- 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
改正経緯[編集]
2011年(平成23年)改正以前の条項は以下のものであったが、同改正により、子の監護について従来より詳細に取り決めをしておくこと、そして、「子の利益」が最も強調されるべき、等の事項が盛り込まれた。
- 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
- 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
- 前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
解説[編集]
国会質疑[編集]
- 平成二十五年六月二十六日(水曜日)に行われた第183回国会 本会議においてみんなの党代表渡辺喜美衆議院議員より,民法766条について下記の質問がなされた。
- 「前回も伺いましたが、ハーグ条約については、安倍総理より、早期締結を目指す旨の答弁があり、これによって、国際的な子供の連れ去りは解決に向かうと期待されます。一方、国内においては、子供の連れ去り問題に対処するため、既に民法第七百六十六条が改正されました。しかし、その運用においては、法改正の趣旨が徹底されておりません。
- 離婚相談を受けた弁護士の中には、まず子供を連れ去れ、もう一方の親から引き離せ、虚偽でもDVの主張をしろと指導し、金もうけをする者がいると言われています。この背景には、既成事実を追認し、子供を連れ去った親に親権、監護権を与える裁判所の運用があります。拉致司法と国内外で批判される実態です。条約批准を機に、裁判官等に対し、改めて、国内の民法七百六十六条の立法趣旨の徹底を図るべきと考えますが、総理の御見解を伺います。」
- これに対し,安倍晋三内閣総理大臣は下記の通り答えた。
- 「民法第七百六十六条は、離婚の際に面会交流や養育費の分担について取り決めることが子の利益の観点から重要であることに鑑み改正されたものであり、引き続き、その趣旨を広く一般に周知徹底してまいります。」
参照条文[編集]
- 第771条(協議上の離婚の規定の準用)
判例[編集]
- 面接交渉の審判に対する原審判変更決定に対する許可抗告事件(最高裁判決 平成12年05月01日)民法第818条3項,民法第820条,家事審判法第9条1項乙類4号
- 婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命ずることの可否
- 婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に、子と同居していない親と子の面接交渉につき父母の間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、家事審判法9条1項乙類4号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができる。
- 家事審判法第9条1項乙類4号は、2013年家事事件手続法の施行に伴い廃止され、当該条項は、家事事件手続法第39条及び同条項が指し示す家事事件手続法別表2第3項「子の監護に関する処分」に継承された。
参考文献[編集]
- 『「子の利益」だけでは解決できない親権・監護権・面会交流事例集』(新日本法規出版株式会社 平成31年2月) - 編著/森公任、森元みのり
参考[編集]
明治憲法において、本条には重根禁止に関する以下の規定があった。戦後民法では民法第731条に継承された。
- 配偶者アル者ハ重ネテ婚姻ヲ為スコトヲ得ス
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