会社法第960条
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法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第8編 罰則 (コンメンタール会社法)>会社法第960条
条文
[編集]- 第960条
- 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 発起人
- 設立時取締役又は設立時監査役
- 取締役、会計参与、監査役又は執行役
- 民事保全法第56条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
- 第346条第2項、第351条第2項又は第401条第3項(第403条第3項及び第420条第3項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
- 支配人
- 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
- 検査役
- 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
改正経緯
[編集]2022年改正
[編集]以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
2014年改正
[編集]以下のとおり改正
- (改正前)一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、
- (改正後)
- 一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、
解説
[編集]関連条文
[編集]判例
[編集]- 商法違反被告事件(最高裁決定 平成21年11月9日)商法第486条1項(現・本条),[「経営判断の原則が適用される余地」について会社法第423条を参照]
- 銀行の代表取締役頭取が,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,客観性を持った再建・整理計画もないまま,赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことが,特別背任罪における取締役としての任務違背に当たるとされた事例
- 銀行の代表取締役頭取が,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,客観性を持った再建・整理計画もなく,既存の貸付金の回収額をより多くして銀行の損失を極小化する目的も明確な形で存在したとはいえない状況で,赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことは,その判断において著しく合理性を欠き,銀行の取締役として融資に際し求められる債権保全に係る義務に違反し,特別背任罪における取締役としての任務違背に当たる。
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