民事訴訟法第55条

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法学民事法コンメンタール民事訴訟法

条文[編集]

(訴訟代理権の範囲)

第55条
  1. 訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押え及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる。
  2. 訴訟代理人は、次に掲げる事項については、特別の委任を受けなければならない。
    1.  反訴の提起
    2.  訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第48条第50条第3項及び第51条において準用する場合を含む。)の規定による脱退
    3.  控訴、上告若しくは第318条第1項の申立て又はこれらの取下げ
    4.  第360条第367条第2項、第378条第2項及び第381条の7第2項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意
    5.  代理人の選任
  3. 訴訟代理権は、制限することができない。ただし、弁護士でない訴訟代理人については、この限りでない。
  4. 前三項の規定は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人の権限を妨げない。

改正経緯[編集]

2022年改正において、第2校第4項を以下のとおり改正

(改正前)第360条(第367条第2項及び第378条第2項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意
(改正後)第360条(第367条第2項、第378条第2項及び第381条の7第2項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意

解説[編集]

第2項
訴訟の開始、終了に関する手続に関して特別の授権を必要とする旨を定めている。これは、訴訟の開始、終了は本人にとって重大な影響を及ぼす恐れがあるからである。
第3項
訴訟代理権の制限禁止について定めた規定である。弁護士の代理権は法定事項であり、当事者が任意に制限できるものではないからである。
ただし書きは簡易裁判所において、弁護士以外の者を訴訟代理人に選任する場合に適用がある。(54条1項ただし書き)
これは、弁護士以外の訴訟代理人には、本人が十分信頼をおけない場合もあるので、その制限を許すことを規定している。

参照条文[編集]

民事訴訟規則第23条第1項

代理人は、訴訟行為をするに当たり、その代理権の存在及び範囲を、書面で証明しなければならない。

判例[編集]

  1. 約束手形金請求(最高裁判所判決昭和30年7月5日)
    請求の一部につき裁判を脱漏した一場合
    民訴81条2項2号(現本条第2項第2号)の特別の委任を受けていなかつた原告の訴訟代理人が請求の一部を取り下げても、右取下の部分はなおその裁判所に係属しているものと解すべきである。

前条:
第54条
(訴訟代理人の資格)
民事訴訟法
第1編 総則

第3章 当事者

第4節 訴訟代理人及び補佐人
次条:
第56条
(個別代理)
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