コンテンツにスキップ

民法第567条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

[編集]

(目的物の滅失等についての危険の移転)

第567条
  1. 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
  2. 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受け取ることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。

改正経緯

[編集]

2017年改正により新設。改正前は、以下の条項が置かれていた。

(抵当権等がある場合における売主の担保責任)

  1. 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
  2. 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
  3. 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

第1項及び第3項については、不適合な契約として第565条を適用することとし、第2項については第570条に継承された。

解説

[編集]

引き渡し後(第1項)及び受領遅滞時(第2項)の危険負担については買主にあることを定める。2017年改正前は、売買契約における危険の移転時期を定める条文がなかったため、引渡し(検品・検査合格)をもって、所有権の移転(=危険負担の移転)を定める契約実務が慣習化していたが、改正により引渡し及びそれと同等にみなせる受領遅滞により危険負担が移転する旨を明文化した。

参照条文

[編集]

前条:
民法第566条
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第3節 売買
次条:
民法第568条
(競売における担保責任等)
このページ「民法第567条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。