コンテンツにスキップ

労働基準法第11条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
賃金 から転送)

コンメンタール労働基準法

条文

[編集]
第11条  
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者労働者に支払うすべてのものをいう。

解説

[編集]

「労働の対償として」

[編集]
賃金とされるものの例
  1. 社会保険料会社負担分
賃金とされないものの例
  1. 住宅貸与(社宅)
    1. 代金を徴収するもの(ただしその代金が甚だしく低額なものは別)
    2. 労働者の厚生福利施設とみなされるもの
      • 労働者の厚生福利施設とみなされない条件
        住宅の貸与を受けていない者に対して均等手当が支給されていない
        • 均等手当が支給されている場合でも、均等手当を超える部分については厚生福利施設の利用額とみなされる。
        • 均衡給与が支給されている場合であっても、均衡給与の3分の1以上の額を住居の借料として徴収する場合には、福利厚生施設とみなす。

参照条文

[編集]

判例

[編集]
  1. 退職金請求(最高裁判決 昭和43年03月12日) 国家公務員等退職手当法第2条,労働基準法第24条1項,労働基準法第120条,民法第466条
    1. 国家公務員等退職手当法に基づく退職手当の支払と労働基準法第24条1項の適用または準用の有無
      国家公務員等退職手当法に基づいて支給される一般の退職手当は、労働基準法第11条所定の賃金に該当し、その支払については、性質の許すかぎり、同法第24条第1項本文の規定が適用または準用される。
    2. 右退職手当の受給権を譲り受けた者が国または公社に対し直接支払を求めることの許否
      右退職手当の支給前に、退職者またはその予定者が退職手当の受給権を他に譲渡した場合において、譲受人が直接国または公社に対してその支払を求めることは許されない。
  2. 執行異議(最高裁判決  昭和43年05月28日)労働基準法第24条1項,民法第466条
    1. 退職金の支払と労働基準法第24条第1項の適用
      退職金は、労働基準法第11条にいう労働の対償としての賃金に該当し、その支払については性質の許すかぎり、同法第24条第1項本文の直接払の原則が適用される。
    2. 退職金債権の譲渡性の有無
      退職金債権は同法第24条第1項本文にかかわらず譲渡することができる。
  3. 退職金請求(最高裁判決  昭和48年01月19日)労働基準法第24条1項,民法第91条民法第519条
    1. 賃金にあたる退職金債権放棄の効力
      賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。
      金にあたる退職金債権の放棄が労働者の自由な意思に基づくものとして有効とされた事例
      甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。

前条:
労働基準法第10条
(使用者の定義)
労働基準法
第1章 総則
次条:
労働基準法第12条
(平均賃金)
このページ「労働基準法第11条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。