民法第466条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

法学民事法コンメンタール民法第3編 債権

条文[編集]

債権の譲渡性

第466条
  1. 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
  2. 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
  3. 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
  4. 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

改正経緯[編集]

2017年改正により、以下のとおりの改正がなされた。

  • 第2項は、以下の条文に替え、現行条文が置かれた。
    前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意第三者に対抗することができない。
  • 第3項及び第4項を追加。

解説[編集]

第1項[編集]

民法では債権を財産権として捉え、原則として自由に譲渡できることを定めている。つまり債権は取引の対象となるのである。

債権譲渡とは、債権の性質を変えないで債権を移転することである。この点で、当事者間で債権の内容を変更する「更改」とは異なる。債権譲渡の定義は明文化されていないが「債権の同一性を保ったまま譲渡人から譲受人に債権を譲渡すること」をいう。譲渡人の資金繰りのために認められた制度である。

金融債権については、ファクタリングとして、事業化されている。

債権譲渡の方法[編集]

債権譲渡の方法は、原則として債権の譲渡人と譲受人との間の合意(意思表示)があれば成立する。この際、債務者の承諾は不要である。なお、債権譲渡の「対抗要件」については民法第467条以降を参照。

例外[編集]

例外として、債務の「性質がこれを許さないとき」(但書)は、債権譲渡はできない(無効となる)。

  • 画家による絵描きの契約等、本人が債務の給付をなすことに重大な意義がある場合があげられる。
  • 法律によって譲渡が禁止されている場合。扶養請求権(民法第881条)、記名式乗船切符(商法第777条)、災害補償を受ける権利(労働基準法第83条)などがある。

改正前は、第2項に「当事者間で債権譲渡禁止の特約(債権譲渡禁止特約)」を結んだ場合、債権譲渡を無効とし但し善意の第三者(判例により、善意につき重大な過失がないことまで拡張されていた)には対抗できないものとされていたが、2017年改正で、そのような場合にあっても譲渡は有効であると定められ、譲渡自由の例外ではなくなった。

第2項[編集]

既述のとおり、「譲渡制限の意思表示(債権譲渡禁止特約)」を無効とした。

譲渡禁止特約を認めるのは比較法的に珍しく、これが認められた趣旨は、明治初年民法制定以前は債権譲渡は債務者の同意を要するものとしていたこと、暴力組織などが債権を安く譲り受け『取立て屋』などが跋扈することを防止することにあるとされていたが、近年は、事務の煩雑さの抑制(預金債権が譲渡された場合、窓口での、譲渡確認が煩雑になる)、過誤払いの防止、相殺権の確保(銀行において、事業資金に関する継続的取引の多くは両建て取引)など、主に銀行などが債務者である場合に有利な制度になっており(例:商工中金の総合口座取引等規定集には譲渡・質入れ禁止の条文がいくつも規定されている。)[1]、債務者たる預金者が零細な企業等である場合、それらの企業にとっては資金調達の手段を狭めるなどの批判もあった。また、その解釈について、従来は「前項の規定は適用されない」と規定されており債権譲渡が無効であると定められていたので、「譲渡禁止特約は誰に対しても対抗できて譲受人に譲渡無効を主張できる」という物権的効力説が通説だった。これに対して少数説だった債権的効力説は譲渡禁止特約が譲受人に対抗できず譲渡人に債務不履行責任を問えるとしていた。

2017年改正によって、債権譲渡自由の原則を徹底した。

第3項[編集]

しかしながら、長年の取引慣習もあり、譲受人等が、『譲渡禁止特約』の存在を知っていながら(悪意)、又は、重大な過失によって知らなかった(『譲渡禁止特約』は慣習化しているので、譲り受け時に、その存在を確認しないと、重大な過失があったと解されうる。預金債権については、第466条の5参照)場合は、譲受人等に対して、債務者は履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済等債務消滅行為(両建て預金の相殺が典型)をもって、成就者等に対抗しうるものとした。

したがって、実務上、改正前後に大きな差は生じていないとも言える。

第4項[編集]

第3項により債務の履行が拒否された場合、譲受人等を救済するため、債権譲渡により本来であれば権限のない譲渡人に対して、期間を定め債務者への履行を催告できるものとし、元々の債権者・債務者間で解決を促すものとし、その期間中に履行がなければ、履行の拒否はできなくなるものとした。

参照条文[編集]

判例[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 星野英一 『民法概論Ⅲ』 良書普及会、1984年、201-202頁。ISBN 4-656-30200-7

前条:
民法第465条の10
(契約締結時の情報の提供義務)
民法
第3編 債権

第1章 総則

第4節 債権の譲渡
次条:
民法第466条の2
(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託)


このページ「民法第466条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。