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会社法第310条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール会社法第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)

条文

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(議決権の代理行使)

第310条
  1. 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。
  2. 前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。
  3. 第1項の株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
  4. 株主が第299条第3項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
  5. 株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。
  6. 株式会社は、株主総会の日から3箇月間、代理権を証明する書面及び第3項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
  7. 株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第4項及び第312条第5項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
    1. 代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求
    2. 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  8. 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
    1. 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
    2. 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
    3. 請求者が代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第2号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
    4. 請求者が、過去2年以内において、代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第2号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

改正経緯

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2019年改正、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により、7項後段、8項を新設。

解説

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代理人による株主総会における株主権の行使
株主総会における株主権の行使については、代理によることができる。この場合、株主は会社に対して、代理権を証する書面(委任状)を提出することを要する。
  1. 株主以外の第三者に代理権を付与することで株主総会が撹乱することを避けるため、定款に「代理人は株主に限る」旨の規定を置くことが多く見られ、判例も、これを有効としている(最判昭和43年11月01日)。ただし、公開会社の場合、株式譲渡に制限がつけられないのだから、会社にとって未知の株主が株主総会を撹乱する危惧を制限することはできず、主に非公開会社を念頭に置いた対応と考えられる。
  2. 法人が株主である場合、法人自身が意思表示をすることはなく、法人株主の意思は代表者によるものと解さざるを得ない。この場合、委任状は当然発行されないため、代表者本人であることが確認できれば、株主としての権利を行使させなければならない。
  3. さらに、株主総会に法人株主の代表者が出席することはごく例外的であり、一般的には、法人の従業員等が職務の一環として出席する。この場合、法人は「職務代行通知」と通称される文書を発行し、法人の代理として株主権を行使させる。代理の一種であるが、定款で代理人資格を株主に制限する旨の規定があって、当該従業員が株主ではなかったとしても、当該規定により代理を無効とすることはできない(最判昭和51年12月24日
  4. なお、多くの上場会社の株主総会の運用としては、株主総会の入場券ともなる議決権行使書を持参した場合、本人確認等をせずに株主総会への出席を認め、株主本人か代理かの確認はしない[1]
第3項「第299条第3項の承諾」
電磁的方法により招集通知を発することに関する承諾を指す。
代理人の数
株主1人に対して1人の代理人を選任することが一般的であるが、株主が複数の株式を有する場合、議決権の不統一行使が認められているため、理論的には、保有株式の数まで代理人を選任できるが、株主総会進行妨害の手段となるおそれがあるため、出席できる代理人の数を制限することができる。この場合、代理人の数を制限する旨を招集者は決定し招集通知に記載しなければならない(第298条第1項第5号、会社法施行規則第63条第299条第4項)。
ただし、株主が他人のために株式を有する者であるときなどにおいては、法律により本制限は効力を有さない(例.投資信託及び投資法人に関する法律第10条第2項)。
株主総会における株主総会の代理行使に関する証跡の保管義務と閲覧・当社に応じる義務

関連条文

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判例

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  1. 株主総会決議無効確認請求(最高裁判決 昭和43年11月01日)
    議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の効力
    議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
    • 同条項は、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されず、右代理人は株主にかぎる旨の所論上告会社の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的な理由による相当程度の制限ということができるから、右商法第239条第3項(現.会社法第310条第1項)に反することなく、有効であると解するのが相当である。
  2. 株式会社総会決議取消請求(最高裁判決 昭和51年12月24日)
    株式会社が定款で株主総会における議決権行使の代理人の資格を株主に限定している場合と株主である地方公共団体、株式会社の職員又は従業員による議決権の代理行使
    株式会社が定款で株主総会における議決権行使の代理人の資格を株主に限定している場合においても、株主である地方公共団体、株式会社が、その職制上上司の命令に服する義務を負い、議決権の代理行使にあたつて法人の代表者の意図に反することができないようになつている職員又は従業員に議決権を代理行使させることは、右定款の規定に反しない。
    • (代理人を株主に限定する)定款の規定は、株主総会が株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨に出たものであり、株主である県、市、株式会社がその職員又は従業員を代理人として株主総会に出席させた上、議決権を行使させても、特段の事情のない限り、株主総会が攪乱され会社の利益が害されるおそれはなく、かえつて、右のような職員又は従業員による議決権の代理行使を認めないとすれば、株主としての意見を株主総会の決議の上に十分に反映することができず、事実上議決権行使の機会を奪うに等しく、不当な結果をもたらす。

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  1. ^ 出席者に対してなんらの対応をとっていないわけではなく、出席者は個別に把握している。議事進行の妨害等があった場合は、出席者の確認をし定款違反等の事実があれば、無条件で議長は退場を命ずることができる。

前条:
会社法第309条
(株主総会の決議)
会社法
第2編 株式会社

第4章 機関

第1節 株主総会及び種類株主総会
次条:
会社法第311条
(書面による議決権の行使)
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